AI開発で考えてること 2025年8月
何かを作るハードルはとても低くなった。何を作るかの大事さが上がってる。LLMのモデルを作ってるわけでもなく、研究をしているわけでもない自分は工夫で戦うことになる。具体的にはAIを組み込んだアプリケーションの設計を工夫することで、何かの課題を解決する手段としてAIを使い、できるだけそれを滑らかに組み込むことが価値になる。
簡単なツールはもはや誰でも作れてしまう。簡単な計算機アプリでは価値にならず、シンプルながら高機能とか、デザインがとても可愛くて一定数に刺さるとかそういう戦いになる。また、LLMモデルに近すぎる領域はすぐに陳腐化する。例えばモデルのアウトプットを評価する仕組みを作っていた会社があったが、OpenAIが同じようなものをリリースしたことで一気に価値が下がった。生き残るにはビッグテックが取り組まない絶妙な領域を選ばないといけない。
人間がAIにどこまで歩み寄るかも難しい。例えばAIはマークダウンという形式のファイルを精度高く読み取れるが、これは人間からすると自然ではない(エンジニアは慣れ親しんでいるが)。マークダウンでドキュメントをまとめるとそこから動画にしたり、発表スライドにしたりとAIによる加工がしやすいが、人間はこれまで慣れていたフォーマットを変えないといけなくなる。AIに寄せることで余計な苦労が生まれるが、AIの生産速度が早すぎてさすがに歩み寄らないといけない気もする。フットワークの軽さが将来を左右する。
「THE LAST PIECE」が面白い
オーディション番組「THE LAST PIECE」を観ている。BMSG主催の10代男性アイドルグループを作るためのオーディション企画で毎週金曜20時にYouTubeで配信。No No Girlsに続いてこちらも面白い。個性のある候補生、素晴らしい楽曲、SKY-HIのコーチングやフィードバック。最近の金曜日の楽しみになっている。
No No Girlsと共通してる部分としてはポジティブなフィードバック。SKY-HIもちゃんみなもまず良いところを褒めちぎり、さらにこうすると良いという形でアドバイスする。見本として自分が歌ったりラップしたりすることもあるが、そのクオリティがとにかく高い。スキルもあって教え方もうまい。さらに自分の頑張りも細かく見てくれるとあっては信頼が生まれないわけがない。
オーディションなので審査ごとに離脱者が出るが、その離脱したメンバーにかける声も優しい。本人がダメなのではなく「今じゃない」「このグループじゃない」「別の形で会えるのを楽しみにしている」と、時期やコンセプトとの不一致が理由だったと述べる。歌やパフォーマンスの良かった点も伝える。パフォーマンス中に誰よりも声をあげて楽しんでいるSKY-HIなのでその言葉には真実味が宿る。落ちた人たちがガッカリしすぎず、オーディションのおかげで良い表現ができたことの感謝を伝えて去る場面は印象深い。
逆にNo No Girlsと違う点としては男性グループなこと。ここは思ったより気にならない。高校生にしてすでに包容力が高いメンバーがいたりして自分を恥ずかしく思ったりはする。それから「トレーニー」というBMSGの訓練生が多く参加している点も異なるところ。トレーニーは普段から歌やダンスのレッスンを受けていて、実際オーディションでのパフォーマンスでもかなり高いスキルを披露している。しかもスキルだけじゃなく一般応募のメンバーに声をかけてリラックスできる雰囲気を作ったり、メンバー同士でアドバイスをしたりと器の大きさもよく見える。残ってるメンバーを見るとトレーニーが割合的には多いが、実力や個性で選ばれてるように思うので変に斜に構えず応援できる。歌もダンスもラップもできて本当にすごい。
今は4次審査が終わったところで残り14名。おそらく7名程度のグループでデビューすると考えると半分は落ちることになり信じられない。今のところ推しはKANON、RYOTO、RAIKIを応援。ひとつのことに真剣に向き合う時間は美しい。良いものを見させてもらってます。
ブログを拡張して「読書メモ」のコーナーを作った
この日記ブログは自分で作ってるが、長らく欲しいと思っていた「読書メモ」のページを追加した。書籍に言及した日記が一覧で並んでおり、辿っていくと過去に読んだ本を思い出せる。自分にとってとても有用なページができてしまった。
読書のマイルールとして本は紙で買い、ペンを片手に線を引きながら読んでいる。本を読んでると頭が回って普段浮かばないようなアイデアが出るのでそれも書き留める。一冊を読み終えたら線を引いた箇所をNotionに書き起こして保存。さらにフィードバックが強かった本についてはこの日記でも書くという流れになっている。なのでこの読書メモに並ぶ書籍はどれも思い入れが深い。今日このページを作って見返してみたが、半年前に読んだ本でも記憶から完全に抜けてるものがあって驚いた。こうして振り返る仕組みを作れたのはうれしいこと。
実装はAIエージェントであるClaude Codeにやってもらった。最初の指示が重要なことが分かってきたので、最近はテキストファイルをひとつ作ってそこに指示や注意点を箇条書きで書き連ねるようにしている。チャットに書くよりも揮発性が低いというか、途中でミスってやり直す時などにテキストファイルに指示を書いておくと再利用しやすい利点がある。つらつらと書いて指示するとかなり正確に仕事をしてくれ、朝の3時間くらいで追加が完了した。最後のデザインは自分で調整して本番環境に反映。小規模なブログの拡張やちょっとしたツールの作成は本当に楽になった。ついでに自己紹介ページを追加し、検索ページのデザインも調整してみた。この日記は1年続けれたら辞めようと思っていたが、たまに読書メモなどを書くスペースとしてはとても良いかもしれない。ちなみに今日で350日目。あと15日で1年間毎日更新できたことになる。
じゃんたまで雀聖になった
最近は麻雀にハマっている。じゃんたまというオンライン対戦できるサービスで遊んでいるが、朝起きて仕事前に一局、昼休みに一局、夜寝る前に二局を毎日のように繰り返し、気づけば「雀聖」というそこそこ上の称号まで来てしまった。料理や家事をしている間にはAbemaでプロの麻雀配信を観ている。Mリーガーの渋川さんのYouTubeを見て勉強したりもしている。やればやるだけ伸びる楽しい時期になっていてなかなか抜け出せない。
勝つためには良い手が入っているときは前に出ないといけない。前に出るとやられる(=放銃する)可能性ももちろんある。ガッチリガードをあげて守れば放銃するリスクは減らせるが、その裏側では自分の良い手を逃すリスクが生まれている。このリスクのバランスは仕事と繋がる。例えばXで発信しなければ炎上することはないが、その代わり自分や自分の活動を知ってもらう機会は逃すことになる。リスクとベネフィットはどちらも存在していて、その多寡を判断するのが醍醐味のひとつになる。
ネット麻雀では4位(ラス)を引くのを避けよという鉄則がある。これは4位を引くとポイントが大きくマイナスされてランクが下がりやすくなってしまうから。以前は血気盛んに前に出ていたが、それをやめて落ち着いて周りを見るようになってからはラス率がグッと減った。自分以外の誰にラスを押し付けるか?そう考えると勝負ポイントはかなり明確になる。勝負にいった結果負けてしまうのは仕方ない。避けるべきなのは不要な場面で勝負にいったり、注意不足でうっかり誰かに放銃してしまうこと。冷静に周りをみつつ、自分のベストを尽くすほかないという点も仕事に通じている。
いまは麻雀がめちゃくちゃ面白いが、この時間の使い方は夏で終わりにしたいと思っている。個人開発や読書など他にもやりたいことがたくさんあり、時間の配分はもう少し見直したい。最近はAIにタスクを依頼してその間に麻雀をすることもあるが、麻雀しながらもAIの実装が気になってチラチラ見てしまい落ち着かない。どちらも中途半端なマルチタスク状態になり、AI開発と趣味のどちらも楽しめなくなってしまう。効率化は良いけど没頭はひとつずつ。遊ぶときは遊び、学ぶときは学ぶ切り替えを大事にしたい。
「ゆるストイック」を読んだ
「ゆるストイック」を読んだ。本屋さんでいまの売れ筋としてよく紹介されていたが、紹介されすぎて逆に手に取らず敬遠していた。何かの書籍かブログで言及されていて興味を持ち購入。読んでみるととても面白い。ここ数年で自分が読書したり文章を書いたりしながら考えていたことが言語化されて一冊にまとまっているという感覚で、パラレルワールドの自分が書いたのかと錯覚するほどであった。
まず表題の「ゆるストイック」は「競争にとらわれすぎず、かといって怠惰でもないスタイル」を指す造語。Z世代よろしく最近の若者は競わない。それは他と比べて上にいくことの無意味さを感じているからだが、この競わない性質は「頑張らなくていい」とはまた意味合いが違う。彼らも本当は頑張りたいし、何かに打ち込みたい。ならば競争ではなく没頭を目指そう。自分のやるべきことを明確にしつつ、そのスタイルを周囲には押し付けない、それがゆるストイック式。
自分がエネルギーを注ぐ領域はどう見つければいいか?それは自分の得意なことから探す。自分ではなんとも思ってないことで周りからすごいと褒められた経験を思い返してみよう。他人にとっては大変だけど自分にとっては余裕なことがあれば、それは特技といえる。得意領域を見つけたらそこで継続して頑張ってみる。続けるのが辛いと思わないだけで、そこでは実績を積み上げやすくなる。
数年前までは「ゴールまでの道のりを逆算しろ」とよく言われた。しかし今は不確実性の時代。ゴールまでの道のりが見えないことも多く、無理にロジックで説明しようとすると逆に視野が狭くなることもある。「頑張ればすぐに成果が出るはず」と意気込むのは、逆に結果が出なかったときに燃え尽きてしまう要因になる。逆算じゃなくて毎日積み上げる。たまに成果が出たらラッキーだと喜び、すぐに忘れて変わらずまた積み上げる。そんな態度が望ましい。
本書で一番面白かったのは脳の機能低下の話。人間の生物学的なピークは、
- 18歳で身体が完成する
- 28歳で脳の発達が終わる
- 38歳で生物学的に寿命を迎える
らしい。老化がはじまって最初に起こるのは「意欲の低下」、つまり新しいことにチャレンジする気が起きなくなる。自分がリスクを犯して何かにチャレンジするより、それまで培ってきた経験を次の世代に伝えて育てていく役目に移り変わるよう設計されている。よくデザインされてるなという感じだが、しかし人生100年時代の今では38歳を越えても好奇心は保ちたい。そんな時は習慣を利用する。毎日10分散歩すると決めて、ただ毎日それをやる。人間の脳は面倒くさがりなので毎日やってることがあれば頭を働かせず自動でそれをやることにする。やりたいことを小さく分解して習慣化すれば、歳を重ねても新しいことにトライし続けることができる。
嫌なことがあったら紙に書いて丸めて捨てる。脳は現実とイメージの世界の区別が得意ではないのでそれだけでも気が楽になる。何か没頭できることがあればそれも脳には良い。何かに集中してる間は他の雑念に捉われず良い健康状態を保つことができる。
競わない、積み上げ、没頭、不確実性、自分の得意の見つけ方。最近自分が考えていたテーマにドンピシャで一気に読み終えてしまった。調べたら著者の佐藤さんは2歳上でほぼ同世代。この世代が見てきたり経験してきたものをまとめると、近しい出口に通じているのかもしれない。