昔の同僚と飲んだ

2025/07/18

所用があって東京に来ており、声をかけて昔の同僚と飲んだ。場所は赤坂で会社があった場所。地下鉄のホームを歩いてるときからすでに懐かしい。改札を抜けて外の景色を見たとき「ここ!」と声が出た。

昔はiPhoneアプリの開発をしていたが、ある時優秀なチームメンバーが揃いすぎたときがあった。技術レベルも高ければ提案や相談のコミュニケーション力も高い。全員が副業をしていて外からの知見も集まり、本当にクオリティの高いプロダクト作りができていた。私たちはドリームチームと呼んでいたが、その当時のメンバーは今はほとんど辞めてしまっている。

久々の集まりだったので近況報告をする。お互いの仕事やプライベートの状況について。やがてそれが終わると以前のような中身のない話になる。昔の友人と集まるとその当時の自分に戻る感覚がある。あれからいろいろ経験もしたけれど、グループの中での自分の立ち位置のようなものは変わることがない。

最初はおでん屋で少しずつ集合し、2軒目は道沿いのバーで風を感じながら一杯飲む。ラストの3軒目で好きだった中華屋に入り、あれもこれもと食べておなかいっぱいになって解散。昔はここで飲んでいて終電をなくし、朝までカラオケでオールしたこともあった。あれから6年ほど経ち、今は23時を超えるとみんなソワソワしだして時計をチェック、終電に遅れないようにしっかりと解散する。あの頃には戻れないんだなぁと少し寂しく感じながらも、自分自身もこの時間に解散できて気楽だとも感じている。

解散後、一人で夜道を散歩して宿に向かう。繁華街を抜ける時キャッチに何度も声をかけられて嫌になる。こういう声かけがそういえばあるんだったな。今は静かな住宅地に住んでるので忘れていた。楽しかったあの頃の時間。今も関係が続いてることを喜びつつ、はちきれそうな自分のお腹をなでてホテルのベッドに横になる。


気心知れたチームで良いものを作りたい

2025/07/17

昨日サービスをリリースしたので今日は初速を確認。Webサイトの訪問者数を見たり、そこからアカウント登録してくれた人の数を見たり。サービスの具体的な利用状況はデータベースから情報を取得する必要があり、それにはSQL言語というものを書かなければいけない。SQLはエンジニア以外の職種では普通馴染みがない。データ分析に興味がある人はSQLの書き方をよく勉強していたが、今日見てみたら日本語を打つとそれに対応したSQLが生成されるAI機能が追加されていた。試してみたら結構複雑なものでも書いてくれる。仕事を奪うというほど大層じゃないが、こうして少しずつ仕事や時間の使い方は置き換わっていく。

AI時代は1人が10人分の働きをできるようになると言われている。AIは作業能力が高いので、そこに上手く指示できれば確かに可能かもしれない。サービス開発ではこれを目指していきたいと思っていて、サポートやマーケティング、セールスをAIが代わりにやってくれるような仕組みを作りたい。例えばサービスの利用状況を見て興味を持ってくれそうなユーザーに機能紹介メールを送る。料金表を何度も見ているユーザーに商談ミーティングのお誘いメールを送る(ミーティングには人間が出る)。今までチームじゃないと難しかった細かな仕事ができるようになれば、サービス提供者も利用者もハッピーになれるかもしれない。

1人でできる幅は広がるが、深さを出すには対話が必要になる。次にどういう機能を作るか?どういう人に刺さるメッセージングにするか?こういう問いにAIは答えてくれない。なので現実的には2-3人の少数チームが良いと思っている。お互いに気心が知れていて会話が早く、試行錯誤を繰り返せるチーム。人数が多くなってくると調整が生まれて身軽さが失われてしまうので、コンパクトな体制を保つのがいい。アフリカのことわざに「早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければみんなで行け」というのがある。遠くに早く行くのには少人数のチームが適している。


10ヵ月間作っていたサービスをリリースした

2025/07/16

会社を辞めて数ヶ月、辞める前も半年ほど作っていたサービスをリリースした。「tone(トーン)」というタスク管理のWebサービス。Todoアプリを個人で使ってる人は多いと思うが、それをチームで同じ場所に管理する。他メンバーの仕事が見える化されるので属人化が防げたり、誰かが困ってる時に手を差し伸べやすくなる。そんなコンセプトで作っている。

前職で似たような海外のサービスを使っていて、それでは満足できなかったことが開発のモチベーションとなった。そのサービスはいろんな機能を持っていることを特徴としているが、機能豊富すぎて誰も使いこなせない。いろいろ機能がある中の10分の1くらいしか使えていないという感覚はなんとなくネガティブに会話され、本来必要な体験を満たせてないような気がしていた。toneはタスクに特化して使いやすい。不要な機能はなく自分たちの手足のように使えるサービスを目指している。

サービスを紹介するページをランディングページ(LP)と呼ぶが、LPに書けるような目立った機能ではない部分を作り込んだ。例えば海外のサービスだとかな変換が考慮されてないことが多く、日本語入力の途中で意図せずタスクが作成されてしまったりする。マイナスをゼロにする系の実装なので大きく謳うポイントではないが、こういう細かい部分の使い勝手にこだわった。

デザインのシンプルさや高速な動作はアピールポイントのひとつ。チームにツールを導入して「これを使いましょう」とすると個々人の手慣れたツールから移行してきてもらうことになる。タスク管理のような日常使いするツールで慣れを手放すのはかなり痛い。それを少しでも和げ、心地よい空間になるよう頑張っている。スマホアプリのようにサクサク使え、その裏では他のチームメンバーにもリアルタイムに変更が反映される。機能はそれなりにあるが普段は隠れていて、関心が高まったときにだけ操作ボタンが表示される。多機能とシンプルは両立できる。たくさんある機能をどううまく隠して見せるか。それが最近の自分のデザインのテーマになっている。

普段1-2ヵ月でリリースまでいくことが多いが、toneは作り始めて10ヵ月かかった。今回の挑戦は「作り込んでクオリティで勝負する」。突拍子もないアイデアではなく地味な使い心地で気に入ってもらいたい。納得できるラインまではいったん来れたので、この後は良い機能追加をどんどんしていきたい。


久しぶりに勉強会で発表した

2025/07/15

友人から声をかけてもらったAI系の勉強会で発表した。定期的にnoteやZennに文章は書いてるがスライドを作って発表するのは久しぶり。最近調べてる技術的な内容を話せて満足。大規模なイベントではなかったけどこういうのは人数はあまり関係ないね。

いつもスライドはKeynoteやGoogleスライドで作ってるが、AI時代には絶対他にあるだろうと調べたところSlidevというのを見つけた。これはエンジニアのためのスライド作成ツールで、マークダウンという開発者が慣れ親しんだ方法でスライドが作れる。このマークダウンは余計な装飾がないのでAIにとっても理解しやすく、AIに壁打ちしてもらいながらスライドに起こす実践例がいくつか記事になっていた。試してみたところかなり使いやすい。しかしデザイン的なこだわりが捨てきれずにKeynoteに戻ってきてしまう。AIツールは溢れてるが自分がそこにフィットするのに時間がかかってしまう(しかもデザインもそこまでよくない)。

発表はオンラインで、画面に向かって喋った内容がそのままYouTube Liveに配信される仕組み。聴いてくれる方の顔は見えないのでパソコンに向かって喋り続ける感じで、5分経ったくらいで音声が本当に届いてるのか不安になった。めっちゃ喋ったけどマイク入ってないとかいうオチじゃないよね?!みたいな。でも途中で不安な雰囲気を出すのも野暮なのでそのまま喋り続けた。スライドをめくりながら喋るのは昔から好きで、熱をこめて話してるとあっという間に持ち時間の20分が経過した。ちゃんと準備しないと緊張するタイプなので時間はかかってしまうのだが、こうやって喋る機会は定期的に作りたい。内容や画像、発表練習などの時間を考えるとまったく合理的じゃないが、コスパとは別軸の満足がある。

参加者の方からの質問で「AIをどうキャッチアップしてるか」というテーマをもらった。あまり考えたことはなかったが、自然と「手を動かして学ぶこと。そしてできれば目の前にある課題を解決する手段として活用する」という回答が出て、喋りながら自分でこれだなと思った。AIの流れすべてを追おうとすると浅い知識になってしまう。そうではなく特定の領域に絞り、手を動かして触りながら深掘りする。特定の領域とは何かというと、自分や同僚が仕事で困ってることの解決。現実にある問題をAIを使って解決しようとするときに一番良い粒度の理解ができると思っている。

6月から会社員を辞めてフリーランスになった。社外で発表することは自身のプレゼンスを高め、仕事を獲得するのに有効だという話も聞く。でも自分にとって発表はそういう手段ではなく、それそのものが脳汁を出す目的になっている。学んだことは放っておくと流れていく。スライドの形に書き留め、それをもとに他の人に発表してはじめて知識が定着する気がする。今のAIのような過渡期には現場の体験談が重宝される。自分も興味ある分野でいろいろ試し、気づいたことは機会をみつけて共有していきたい。


池尻大橋

2025/07/14

池尻大橋は東京で一番長く住んだ場所。渋谷の隣駅で歩いても15分くらいでいけるが、とても静かで住みやすい場所。シェアハウスを出てこのあたりに住もうかと不動産を回ってると会社の先輩とバッタリ会い、「”池尻大橋に住みたい”というブログがあるほどこの辺は人気なんだよ」と教えてもらった。

池尻、三宿、三茶などの地名は芸能人のトークやエッセイにもよく出てくる。飲み屋に入るとカウンターの隣が俳優さんだったり、散歩でよく前を通るバーが芸人の溜まり場だったりもした。繁華街ではないが雰囲気の良いお店が点々とある。その上スーパーなども安く、住みやすい場所だった。

国道を越えて少し歩くと世田谷公園がある。休日はよくここで歩いたり本を読んだりしていた。噴水の中心に独特な会場のオブジェがあり、その写真をよく撮っていた。この公園はPokémon GOブームの時にミニリュウの巣としてフィーバーし、とんでもない人で溢れていた。公園がゴミで荒れ、「子供に恥ずかしくない行動をしましょう」と書かれた立て看板が増設されていた。

近くにタイ古式マッサージの店があり、本当に疲れた時は何度かお世話になった。施術もサービスも素晴らしくて回復する。一度前を通りかかると長くて黒いリムジンが道路に横付けされていて、政治家や要人も来ているんだなぁと思った。その向かいには小さな公園と図書館。この図書館でいろんな本を借りて読んだ。夜間でも返却できるポストが玄関前にあり、夜散歩のついでによく本を返しにきた。

長い間住んでいたので行きつけと言えるお店もできた。いつもブルーハーツがかかってるつけ麺屋、タクシーの運転手が出入りするそば屋、住宅街の中にひっそりとあるイタリアン。おでん屋のおばちゃんが店を閉めるときは一緒に写真を撮った。たこ焼き居酒屋のおっちゃんは元気だろうか。料理はどれも美味しかったが、会計の金額が毎回流動的で多分適当に計算してるなと思っていた。

東京出張のときに一度訪れたが、ずっと工事中だった大きな道路が開通して街の生態系が大きく変わっていた。東京の街はスクラップ&ビルド。どの建物もすぐなくなるが、思い出の中の自分はいまだ緑道を歩いている。