仕事を俯瞰してゲームにする

楽しい苦しいは事象そのものではなく自分の捉え方で決まる。実際はどうにも受け入れ難い出来事もあるが、それでも自分の捉え方次第だと考えれば少しは前向きになれる。仕事も時には自分の苦手なことをしないといけないが、工夫次第で楽しむことはできる。
前職で大企業で働いていたとき、あるサービスのアカウントの棚卸しをする必要があった。作業としては1000くらいあるアカウントリストを上から見ていき、各アカウントに必要な権限をポチポチつけていくというもの。その仕事自体は必要だが時間がかかり、単純作業を繰り返すのは苦手なタスクでうんうん悩みながら進めていた。
その時先輩が現れ、やらないといけないことは変わらないのでやり方を工夫しようと声をかけてくれた。先輩の案としては手動で1000件操作するのをやめ、それを自動化するプログラムをJavaScriptで書こうというもの。これならJavaScriptのスキルも高まり、退屈だった時間が勉強の時間に変換できる。この考え方に感銘を受けて実装。スキルもそうだが、何より自分にとって意味があると前向きに仕事と向き合えたのが大きかったと思う。この時の出来事は定期的に思い出す。
ちなみにその数年後、健康診断でバリウムを受けるのが嫌なことを同僚と話しているとその先輩がまた現れ、「バリウムは唯一自分も体を動かす検査項目で、アトラクションみたいで楽しいですよ」と言って去っていった。実際にはバリウムがすごく楽しいわけではないと思うが、この言葉をかけられてから何だかバリウムだけは好きな検査になっている。
人生で起こることをすべてコントロールすることはできない。やるだけのことはやって、偶発的に起きる事象には何とか工夫して楽しみを見出せるように構えたい。
「疲れたこころの処方箋」を読んだ
「疲れたこころの処方箋」という本を読んだ。著者は韓国の僧侶の方で、内容はエッセイとフレーズ集が入り混じる構成。人生の辛い場面をどう乗り越えるか、どう心を前向きに保つかなど、答えのないテーマをいろいろな言葉とともに考える一冊。
例えば「成功」の測り方。世の中の名声からではなく夜どれだけぐっすり眠れるかを指標にする。世にいう成功者も何かに焦り、追われている人は多い。何かを達成することではなく、存在そのものに価値を置くと人生を楽しめる。
人を助けるのは素晴らしいことだが、自分に原因がある場合を除いてその人の悩みを自分が全て解決するのは難しい。最初は善意から動いても、完璧な結果を求めすぎると辛くなって両者の関係を悪くしてしまうこともある。
シンプルに過ごす秘訣は「人が自分をどう思うか聞かない」こと。周りにどう見られているかではなく自分に集中する。会社にはよく360度評価という手法があり、これは定期的に近しい同僚から自分の仕事ぶりにフィードバックしてもらうというもの。人からの見え方を知るという意味では同じだが、仕事のスキルは客観的な目線をもらって市場で評価される形に高めておくと有利に働く。誰と誰が険悪だとか、そういう話は避ける。相談されていない外野が介入してうまく行くことはない。
小確幸、あるいはSBCHという言葉があるらしい
最近読んだ「疲れたこころの処方箋」という本で知ったが、SBCHという言葉があるらしい。これは「small but certain happiness」の略で、「小さくはあるが確固たる幸せ」と意味する。小確幸も同じ意味だがこれは村上春樹が作った略語らしい。大成功を求めるより日常のささやかな幸せを求める動きがある。
幸せとは何か?それは状態。朝に飲む一杯のコーヒーでも、作業として飲むのと香りや味を堪能するのでは意味が違う。同じ事象があったとき、それに苦しみ続ける人とそうでない人がいる。事象や出来事それ自体は苦しみではなく、それと向き合う人の心が苦しみを生む。自分の捉え方ひとつというと言い過ぎかもしれないが、考え方を変えれば多少は痛みもマシになる。
幸せになるには他人との比較をやめること。スキル、給与、趣味、家族などを比べて良いことはひとつもない。比較しないために自分の好きなことを見つける。自分の拠り所がないと他人の物差しを借りて価値を測ることになる。そのフィールドは大勢の人がいるので狭くて動きづらい。自分の大切なものが何か分かればそこに夢中になれるので自然と人と比べる時間が減っていく。
自分の好きなことを見つけるには一人でいること。自分の心の声に耳を傾けて、気になるものや興味があるものに触れたり、自分なりの意見を考えたりする。どれだけ近しい家族や友人でも自分を完全に理解してもらうことはできない。なので人には話さず自分で考える。周囲との協調が求められる場面では折り合いをつけてまったく問題ない。自分なりの意見を一度考えたというのが自分を知る一歩になっていく。
映画「ブラックベリー」を観た
映画「ブラックベリー」を観た。携帯端末のブラックベリーを作った会社の話で、小さなスタートアップが急成長し、やがてiPhoneの登場により凋落するまでを描いたストーリー。規模は違うが同じ業界で自分の仕事と似ている部分もあり共感を挟みながら楽しく見れた。雰囲気としてはFacebookをテーマとした「ソーシャル・ネットワーク」、Spotifyをテーマとした「ザ・プレイリスト」に近い。
元々は二人のエンジニアが創業し、社内の雰囲気はまさにエンジニアカンパニー。仕事中にゲームをしたり夜にみんなで映画を観たりと牧歌的。実力は確かで作る製品はすごいが売れない。そこにやり手のセールスマンが参画することで時代が動き出す。会社が成長して外部から人材を登用が進み、ビジネスのボスが来るあたりで会社の雰囲気が変わる。映画を観る会は廃止されて仕事中に遊ぶメンバーは解雇される。作業効率はあがるが遊びはなくなりエンジニア文化が壊れていく様がリアル。
自分は10年以上アプリ開発を作る仕事をしていたのでジョブズのiPhone発表のスピーチは何度も観てきたが、作中のブラックベリーの社員はそれを絶望とともに見ることになる。メンバーの動揺、お客さんの態度の変化、そしてプロダクトの目指す先に迷いが生じて事態は混迷していく。
一世を風靡し、そして凋落していくブラックベリー。しかしジョブズもかつてはAppleを追い出されてるし、成功と失敗は常に表裏一体なのかもしれない。個人的には初期のシーン、プレゼンを冷やかに聞く顧客に対して決して喋りが上手くないエンジニアが高度な技術知識を話し始め、そのまま場の空気を一気に掴んでいくシーンにグッときた。見せ方よりもまずは内実が評価される世界であって欲しい。
映画は史実に基づいていて面白いし、プロダクト作りの雰囲気を掴めるので興味がある人はぜひ。Netflixなら無料で観れます。
夜に考えすぎない
仕事や生活をしていると不安なことも多々あるが、夜に考えすぎて良い結論が出たことはない気がする。一日活動して脳が疲れており身体的にも休息のパターンに入っている。そんな状況で難しい課題を考えてもなかなか解決策は生まれない。
モヤモヤを早く解決したい気持ちもあるが、それはグッとこらえて明日の自分に期待してすぐに寝るようにする。翌朝起きてスッキリした頭で考えると閃くことが多い。俯瞰してみるとこう思えるが、厄介なのは夜のその時点ではまだまだ脳は冴えてると自分では思いこんでしまうこと。「夜に考えすぎない」というフレーズを自分の胸に置いておき、そういう場面になったときに軽やかに思考を止めて寝られるように意識したい。
反対に、夜に思いついたアイデアを翌朝見返すと微妙なこともよくある。夜中のテンションではいろいろなことが面白く感じられる。考える分には楽しいので良いかもしれないが、冴えた発想が出るのはやはり朝。最近はあたたかくなり散歩にも出やすくなった。朝早く起きて朝食を食べる前に20分ほど体を動かす。太陽の光を浴びて体内時計をリセットする。良いリズムは朝の過ごし方から生まれる。夜は早く寝て朝に動く、このシンプルなサイクルを回していく。