池尻大橋
池尻大橋は東京で一番長く住んだ場所。渋谷の隣駅で歩いても15分くらいでいけるが、とても静かで住みやすい場所。シェアハウスを出てこのあたりに住もうかと不動産を回ってると会社の先輩とバッタリ会い、「”池尻大橋に住みたい”というブログがあるほどこの辺は人気なんだよ」と教えてもらった。
池尻、三宿、三茶などの地名は芸能人のトークやエッセイにもよく出てくる。飲み屋に入るとカウンターの隣が俳優さんだったり、散歩でよく前を通るバーが芸人の溜まり場だったりもした。繁華街ではないが雰囲気の良いお店が点々とある。その上スーパーなども安く、住みやすい場所だった。
国道を越えて少し歩くと世田谷公園がある。休日はよくここで歩いたり本を読んだりしていた。噴水の中心に独特な会場のオブジェがあり、その写真をよく撮っていた。この公園はPokémon GOブームの時にミニリュウの巣としてフィーバーし、とんでもない人で溢れていた。公園がゴミで荒れ、「子供に恥ずかしくない行動をしましょう」と書かれた立て看板が増設されていた。
近くにタイ古式マッサージの店があり、本当に疲れた時は何度かお世話になった。施術もサービスも素晴らしくて回復する。一度前を通りかかると長くて黒いリムジンが道路に横付けされていて、政治家や要人も来ているんだなぁと思った。その向かいには小さな公園と図書館。この図書館でいろんな本を借りて読んだ。夜間でも返却できるポストが玄関前にあり、夜散歩のついでによく本を返しにきた。
長い間住んでいたので行きつけと言えるお店もできた。いつもブルーハーツがかかってるつけ麺屋、タクシーの運転手が出入りするそば屋、住宅街の中にひっそりとあるイタリアン。おでん屋のおばちゃんが店を閉めるときは一緒に写真を撮った。たこ焼き居酒屋のおっちゃんは元気だろうか。料理はどれも美味しかったが、会計の金額が毎回流動的で多分適当に計算してるなと思っていた。
東京出張のときに一度訪れたが、ずっと工事中だった大きな道路が開通して街の生態系が大きく変わっていた。東京の街はスクラップ&ビルド。どの建物もすぐなくなるが、思い出の中の自分はいまだ緑道を歩いている。