「At The Last」の歌詞が良い
最近はラスピ沼にハマってしまい朝も夜もオーディション中で披露した曲を歌っている。最新話では番組のテーマソングである「At The Last」のオーディションメンバーバージョンが披露された。SKY-HIの育成にかける想いが込められた歌詞がとても良い。
「勝ちよりも立ち上がった数を誇れ」
これまでに挫折した経験があるからこそ良いパフォーマンスができる。
「勝算は無い。だが辞める理由にはならねぇ」
勝てるゲームだからやってるわけじゃなく、自分がやりたいからやってる。
「綺麗事を叫べ
夢や理想に染まれ
自虐を今日蹴飛ばせ
君のその無謀を全て愛そう」
現実は甘くない、とかよりもこういう言葉を言われたい。芽が咲く可能性がちょっとでもあがる後押しを。
「もうビビってる場面じゃないぜ」
このラインがなぜか一番しっくり来る。いろいろ考えて準備してもリスクがあると恐怖する。でもやるだけやったら後は全力でやってみるだけ。腹を括ったらもうビビってる場面ではないのである。
夢を追う10代の若者にかけられた言葉ではあるが、何歳にでも通じるメッセージでもあると思う。この番組を見てると大人になるにつれて培ってきたバランスが崩れそうになりますね。人とぶつからないような立ち回り、小手先の仕事のテクニック。そんなものよりまず自分が情熱を注げる、全力で打ち込めるものを見つけることが大事な気がして揺さぶられます。
「ゆっくり、いそげ」を読んだ
「ゆっくり、いそげ」を読んだ。東京は西国分寺駅にあるカフェ「クルミドコーヒー」の店主の方が書かれた本。最近は資本主義の忙しさにストップをかけ、スローペース・マイペースで日々を過ごしたいと思っており、このタイトルが本屋で目にとまって購入した。
著者の方は東大卒、マッキンゼー、ベンチャーキャピタルと経歴を重ねられておりビジネスマンとしても超優秀。資本主義に乗って加速し続けることはやめ、ビジネスとスローライフの中間を目指す。そしてその中間が現実的に可能であることをカフェの営みを通じて理解していく。
例えば「お客さんの消費者的な面」のスイッチを押さない。集客のために広告を出したり20%オフにしたりをやらない。こういう施策は一時的に人を呼ぶかもしれないが、値引きされていない時期を損だと感じ、安く買えた方が良いという思考に一票を入れてしまう。
本書の言葉を借りれば誰もが「消費者的な面」「受贈者的な面」の両方をもっている。お店での時間が豊かになるようにこだわる。それを受け取ったお客さんは払った金額よりも良い対価を受け取ったなと感じ、また訪問したり知人にお店を紹介したりする。これは「ギブ」のループが成り立っている。
経済についての解釈も面白い。著者はもともと「経済的な活動は関係性を壊す」と思っていたという。確かに友人と起業するなという言説はよく聞く気がする。しかしそれは「互いを利用し合う経済活動」の場合の話であって、「互いが互いを支援し合う経済活動」ではむしろ関係性は育っていく。
ここはシビれるものがあった。社会人やってると人脈とか、異業種交流パーティーのような場に参加することもあるが、毎回違和感があった。それは「この人と繋がっておくとどんな良いことがあるか」と測られ、それを受けて「自分のスキルや魅力をアピールしなきゃ」と考えてしまう自分によるモヤモヤだ。いろんな仕事を聞くのは楽しいが、そんなシンプルな会はなかなかない。普通にサラダうまいですねとか言って過ごす飲み会に行きたい。
最後に「時間と戦わない方法」。現代は何も考えずにいると時間と戦ってしまう。より短い時間で大きな成果を。生産性、コスパ、タイパを求める。時間を味方につけるには人間関係をギブから始め、目的や目標を絶対視しないこと。1ヵ月で〇〇を達成する!と目標を置くとその時点から「今」はマイナスになる。それで頑張れる人は良いかもしれないが時間に追われるのは基本的に辛い。しかもそれを達成してもまた次の目標が置かれる。自分が満足できるタイミングがない。目指す先はあってもいいが囚われすぎず、毎日を積み上げていく感覚にする。
最近出張の機会は減ってしまったが、次に東京行くときは西国分寺に行ってみたい。
オタクじゃない
自分はオタクじゃない。これにハマっていて誰よりも詳しいです、というのがない。読書が好きだけど追いかけてる作家さんがいるわけではないし、スプラトゥーンは2と3で2000時間くらいプレイしてるけど今はまったくやってない。スポットでその時々にハマるものはあるけど一貫しておらず趣味として喋りづらい。
個人開発も趣味で、これは社会人になってから15年くらいやってるので良いかもしれない。しかし最新のテクノロジーに詳しいわけじゃないし、収益化のノウハウを溜め込んでるわけでもない。ただなんとなくその時々に面白いと思うものを作っている。最近だとAIを使った開発が面白くていろいろ試してるが、AI関連の論文は全然読んでいない。日々そういうのをチェックしてます、みたいな人を見かけるたび自分は深掘りが足りてないなぁと思う。
平均70点の人間が輝ける道もあり、それは組み合わせだ。この技術をこういうアプリで使ったら面白そう、この人気ゲームのこの部分はWebサービスだとこう活かせそう、みたいな新たな組み合わせが新たな発明を生む。器用貧乏な自分はこの道だなとは思いつつ、ひとつのことをやり続けているオタク気質の人を見るといつも尊敬と引け目を少しずつ感じている。
ちなみに自分の特徴に「モノマネが好き」というのがありそうに思っている。良いエッセイを立て続けに読むと自分も書いてみたくなる(この日記ブログです)し、オールナイトニッポンを聴くのが好きすぎて自分でもPodcastをやりはじめた。いい感じに仕事をしてる人を見るとそのエッセンスを自分に取り入れる。これはオタクじゃない汎用的人材だからできることかもしれない。
AIによる開発加速で疲れる人たちがいる
「AIのせいで疲れる人がいる」という内容のポストがXでバズっていた。ソフトウェア開発においてジュニアエンジニアがAIを使ってコードを量産しており、それを確認するシニアエンジニアが疲弊しているという話。そのポストについた返信を見るに翻訳や法律など他の業界でも同じことが起きているらしい。これはどういう問題なのか?
「質より量を求めることが良質に行き着く」というのが自分の中のモットーとしてある。ある実験でAとBのグループに分かれ、Aは質の高い壺をひとつだけ作る。Bはできるだけたくさんの量を作る。同じ制限時間ではじめたところ、一番良い壺はBのチームから出てきたという。これはBのチームがたくさん作るなかで失敗を省みて次に活かしたり、前回とは違う工夫を入れてみようとすることによるもの。つまり最初から質を求めるより量を経た方が最終的に良いものが作れる。
前述のジュニアエンジニアの件はどうだろうか。量だけが増えてその質が高まっていってないことに問題がある気がする。ジュニアエンジニアが目指すのはアウトプットよりも成長だと自分は思う。今は即戦力とはいえないが、いずれチームとコードをまとめるリーダーになってくれるはず。そんな期待があるからシニアエンジニアも丁寧にレビューをしてくれるのであって、単純な量だけを追っていればそれこそAIに代替される。
量を追うのは良いが、そこから学ばなければいけない。具体的には同じような実装があったとき、前回よりも効率的に実装できるようになっていること。AIにコードを書いてもらうのは良いが、その内容を理解すること。不要だと思うところは削除し、もっと効率的に書けそうな部分は改善すること(改善自体はAIに依頼してもよい)。
あとはAIによって開発が加速するのは間違いないので、これまで通りのチェックプロセスでは回らないという問題もある。10倍の量が提供されるなら単純計算でシニアエンジニアも10倍いないといけない。でもシニアと呼ばれる人材は世の中にそんなにいないので、このチェックのプロセス自体をAIを使うなどして変えていかないといけない。個々人の努力ではとても捌けないと思うので組織的な判断が必要になってくるタイミングだと思っている。
説明上手な人をみると感動する
最近朝起きると足が痛い。右足の裏、外側に体重をかけると痛む。少し経つと痛みが消えるが翌朝また同じ場所が痛む。3ヵ月くらい続いてるのでそろそろ病院に行った方がいいような、ベッドが合ってない気がするので買い替えた方がいいような。年齢が重なると体の不調に敏感になる。
社会人3年目くらいのとき、突然右腕を肩の位置より上にあげられなくなった。あげようとすると痛む。高い場所のものを取れないしかなり不便だったはずだが、会社で「四十肩ってよく聞くけど僕は二十肩です」とボケていた。今だともっと焦ってると思うので体への感度があの頃と違うのかもしれない。
「ギズモード・ジャパンのテック教室」を読んだ。ギズモードの方が身近な技術をわかりやすく説明していく本。例えば「エアコンはどうやって空気を冷やしている?」「GPSはどうやって場所を推定している?」など、生活に馴染みすぎて普段意識しない技術の仕組みを解説する。
驚いたのは音声通話で聞こえるのは自分の声じゃなくて合成された音声だというもの。スマホで話すとき、相手に届いているのは自分の声のモノマネ。43億通りのパターンから一番似ているものが選ばれて自動合成されているらしい。知らなくてもまったく問題ないけど知識として面白い。
本のつくり的におそらくターゲットは中学生くらいが想定されている。難しい言葉を専門用語なしで解説していくのに工夫があって面白い。例えばCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)はエンジニアでは基本的な技術だが、説明するとなるとテックな感じがどうしても出てしまう。自分が説明するなら「毎回アメリカのサーバーと通信すると時間がかかるので日本にCDNサーバーを置き、よく使うデータはそこにコピーしておく。日本の人が通信する場合はCDNからデータが返ってくるので早い」みたいな感じだろうか。でもこの本は違う。CDNを冷蔵庫にたとえ、スーパーマーケットに行かなくても家の冷蔵庫で野菜が手に入ると表現する。身近なものでうまく説明しているなと感心した。
思えば昔から説明上手の人を見ると感動していた。大学の頃は工場の仕組みを説明する「シルシルミシル」という番組が好きだった。相手に伝わるようにわかりやすく説明したいとは今もずっと思っていて、本の内容について答えたり発表スライドを作るのはかなり好きだ。ただ最近は物事の仕組みより自分の経験を話すことが面白いんじゃないかと思ってきている。その人だからこそ話せる内容は魅力的で、それを話すにはまず良い経験をしていかないといけない。