AIによる開発加速で疲れる人たちがいる

2025/09/07

「AIのせいで疲れる人がいる」という内容のポストがXでバズっていた。ソフトウェア開発においてジュニアエンジニアがAIを使ってコードを量産しており、それを確認するシニアエンジニアが疲弊しているという話。そのポストについた返信を見るに翻訳や法律など他の業界でも同じことが起きているらしい。これはどういう問題なのか?

「質より量を求めることが良質に行き着く」というのが自分の中のモットーとしてある。ある実験でAとBのグループに分かれ、Aは質の高い壺をひとつだけ作る。Bはできるだけたくさんの量を作る。同じ制限時間ではじめたところ、一番良い壺はBのチームから出てきたという。これはBのチームがたくさん作るなかで失敗を省みて次に活かしたり、前回とは違う工夫を入れてみようとすることによるもの。つまり最初から質を求めるより量を経た方が最終的に良いものが作れる。

前述のジュニアエンジニアの件はどうだろうか。量だけが増えてその質が高まっていってないことに問題がある気がする。ジュニアエンジニアが目指すのはアウトプットよりも成長だと自分は思う。今は即戦力とはいえないが、いずれチームとコードをまとめるリーダーになってくれるはず。そんな期待があるからシニアエンジニアも丁寧にレビューをしてくれるのであって、単純な量だけを追っていればそれこそAIに代替される。

量を追うのは良いが、そこから学ばなければいけない。具体的には同じような実装があったとき、前回よりも効率的に実装できるようになっていること。AIにコードを書いてもらうのは良いが、その内容を理解すること。不要だと思うところは削除し、もっと効率的に書けそうな部分は改善すること(改善自体はAIに依頼してもよい)。

あとはAIによって開発が加速するのは間違いないので、これまで通りのチェックプロセスでは回らないという問題もある。10倍の量が提供されるなら単純計算でシニアエンジニアも10倍いないといけない。でもシニアと呼ばれる人材は世の中にそんなにいないので、このチェックのプロセス自体をAIを使うなどして変えていかないといけない。個々人の努力ではとても捌けないと思うので組織的な判断が必要になってくるタイミングだと思っている。