手に馴染むサービスはフィードバックがデザインされている
2025/04/07
「モードレスデザイン 意味空間の創造」を読んでいる。デザインについて書かれた本だが「明日から役立つ!」のような実践書ではなく、かなり抽象度の高い内容になっていてそれが良い。今まで読んだ本のなかでは「融けるデザイン」に近い気がする。ソフトウェアのデザインがどうあるべきか、そもそもデザインとは何なのかを深く思考する。
気になった箇所をいくつか書いてみる。ハードウェアには物理的制約があり、ソフトウェアには物理的な制約はないが論理的な制約がある。ここまでは良いが、実はソフトウェアにはもう一つ「認知的な制約」がある。論理的に正しい、論理的に可能なものであっても人間の認知能力を超えれば扱えない。「実現できてはいるが誰も使えない仕様」は認知的な制約を無視・軽視した結果生まれている。
デザインが磨かれるプロセスは反復的で、これは完成図をイメージしてそれに近づけていくような作り方とは根本的に異なる。実装して進んでみて微妙であれば壊す。部分的にではなく時には全体を作り直す。ある地点まで作って試し、その手触りにより次の地点が見えてくる。それを繰り返すうちに目指すところへじわじわ寄っていく。エンジニアリングもそうだがプロジェクトの見積もりを出すことはそもそも難しい。締切を守ることよりも少し伸びてもいいから磨き上げて提供する価値の質を担保する方が良い結果につながる。
マンガで日本の歴史を学ぶ
2025/04/06
学生時代の日本史はどちらかといえば苦手科目で、年号の語呂合わせなどは楽しかったが各時代の流れはあまり記憶にない。日本各地に旅行に行くと歴史的なスポットに出くわすことが多々あり、歴史を知ればもっと旅行が楽しくなりそうだなとは常々思っていた。
かといっていきなり歴史の専門書を読んでも挫折する未来しか見えない。学校で歴史の先生をしていた同僚に話すとまずはマンガでの入門を薦められ、一番興味があった幕末〜明治維新の頃のマンガを読んでみた。「お〜い!竜馬」は坂本龍馬が主人公の幕末を描いたマンガ。新撰組や高杉晋作、桂小五郎や西郷隆盛など歴史に疎い自分でもよく知る人物たちが登場し、彼らが何を成したか、どういう関係性だったのかをとてもよく理解できた。昔のマンガなのでなかなか凄惨なシーンもあるのだが、国を変えるために立ち上がった人物たちは生き生きと描かれる(デフォルメもされている)。ちなみにお〜い!竜馬の原作は武田鉄矢氏。龍馬が好きすぎてマンガにしたらしい。
幕末について理解が深まった感覚を得られたので、次は戦国時代や源氏・平氏の時代を知りたくなった。このあたりもワードは残ってるが関係性はよく分かっていない。子供向けの歴史マンガから始めようと調べたところ、角川が出している「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」は全編通して同じ先生が監修しており、一貫性の観点で読みやすそうに思えた。近所の図書館で何冊かずつ借りて読んでいる。勉強にはなるが、一冊で一つの時代を描くのでどうしても急ピッチになり入り込めないまま読み終わってしまう。わがままを言えばお〜い!竜馬くらい長編で、ストーリーが面白くて脳裏に刻まれるような作品を読んでみたい。大河ドラマなどが良いのかもしれない。できればマンガで探したいが、あまり良いものがなければ大河ドラマの一気見を試してみたい。
一年の計は年度末にあり
2025/04/01
一年の計は元旦にありというが、自分の中では年よりも年度末の方が区切り感がある。3月に誕生日があって年を重ねるからかもしれない。年始に考えたときから変わらず、今年の抱負は「良い日を増やす」としている。
良い日とは何か?大きな前進じゃなくて良いので目指す方向に向かって着実に一歩を進めること。特別じゃない普通の日を大事に思えること。良い日を過ごせると気分がよくなり、また次の日も良いコンディションで臨めるようになる。そしてこのサイクルを繰り返すと集中状態が高まりゾーンに入る。昨年末に読んだ「ゾーンに入る」という本に書かれていた内容だが、今年はこれを意識していきたい。
自分なりの良い日の作り方を考えてみた。大きく二つあり、一つは家族や友人など大切な人に親切にすること。対象は大人数じゃなくてよく、ごく身近の数人を大切にできればそれで良い。もう一つは没頭する時間をもつこと。個人開発でも将棋でもなんでも良いが、いまこの瞬間に向き合えると大変心地よい。この二つを支える根底に健康がある。肉体的健康と精神的健康。散歩や水泳で運動の習慣を作りつつ、たまに友人となんでもない時間を過ごす。今年度はこんな感じでいきたい。
不幸になる方法を考えて逆を行く
2025/03/29
最近は自分がどういう状態であれば幸せかをよく考える。年齢的なものもあるし、年収をずっと上げていくような生き方に息苦しさを感じるというのもある。「イノベーション・オブ・ライフ」には自分が大切なものに時間やお金を配分する重要性が書かれている。大切なものは人によって違う。まずは自分は何があれば満たされた気持ちになるのかを理解したい。
10年ほど前、近所に広島焼の美味しいお店があってよく通っていた。そこはカウンターだけの小さなお店だったが、たまたま隣に座っていた同世代くらいの方に話しかけられた。その人は絵本作家を目指しているらしく、良い絵本とはどういうものかを教えてもらった。彼曰く幸せの形は多様で表現が難しい。しかし不幸はある程度みんなイメージできる。なのでよく売れている絵本は不幸をあえてピックアップし、そこから解放されるような描き方をしているものが多いらしい。幸せを定義して目指すのは難しいので不幸をひとつずつ剥がしていく考え方。たまに思い出しては何かヒントをもらえているような気分になる。
普段生活していて、私たちは小さなストレスを細かく受け続けている。「仕事が本当に嫌いで出社したくない!」などの強いストレスは表面化するので対処されるが、細かいものはつい見過ごしてしまう。こういったものが少しずつ自分のエネルギーを削っていってしまう。自分は何が不安なのか?何を恐れているのか?落ち着いた場所で自問し、それを紙に書き出すと整理されて心に余白ができる。すぐに対応が難しいものでもモヤモヤの正体が分かればかなり気は楽になる。エネルギーは増やす必要はなくて私たちに元々ある。それを削っている要因に目を凝らすようにすれば、不幸から少しずつ離れていけるかもしれない。
「朝1分、人生を変える小さな習慣」を読んだ
2025/03/26
「朝1分、人生を変える小さな習慣」を読んだ。習慣に関する本はとても多い。みんな自分の習慣を変えたい(そして変えられない)のだろう。自分も色んな習慣本を読んでいる。単純なので本に書かれたことを気に入ってすぐ実践するが、3ヵ月くらいすると元の生活に戻ってしまう。でも3ヵ月は持つので、3ヵ月ごとに習慣の本を読めばそれなりに生活を整えられることが分かった。習慣本には共通する内容が多いけど、それはいつも自分に刺さってくる。
この本では人生を前向きにするための30個の朝の習慣が述べられている。印象に残ったものをいくつか書く。まずは「ポジティブシンキングするよりも、物事を軽く受け止める練習をする」というもの。前向きに考えるのは良いことだが、ポジティブシンキングをしなければいけないと思ってしまうと事実を歪めて認識することになる。本当は自分は辛いのにポジティブで覆ってしまう。表面は明るいけど内面では落ち込んでいる。こういうズレが自分を疲れさせてしまう。軽く受け止めるというのは、簡単にいうと「そういうこともあるよね」で終わらすこと。ミスして上司に怒られた。そういうこともある。上司に怒られてムカついた。そういうこともある。誰かにムカついているネガティブな時間はやめよう!人生をハッピーに!とはベクトルが違う。ただ受け流す。物事をありのままに捉えられることが心の平穏を生む。
次に、何かに取り組むことについて。うまくなりたいことは数多くある。それなのにすぐ諦めてしまうのはなぜなのかか?考えてみると、その根底には人よりも早く成果を挙げたいという欲がある。競争社会で育った私たちは無意識に人と自分を比べてしまう。最短で最大の成果を出す「ハック」を探してしまう。物事に取り組むことは時間がかかる。他人と比べず、日々コツコツと自分のペースを保って取り組むのが良い作法。
「からまる毎日のほぐし方」を読んだ
2025/03/21
「からまる毎日のほぐし方」を読んだ。著者の尾石さんはVoicyの人気パーソナリティらしく、年齢やキャリア、人間関係などの「からまり」を一つずつほぐしていく形式のエッセイ集。年齢が30代、40代、50代と移ろうにつれ直面する問題も変わっていく。ミドルエイジの悩みとそれをどうほぐすかの考えが述べられていて引き出しの数を増やしてくれる。
いくつか印象に残ったエピソードを書く。「できるけど疲れるもの」に注意するという話。「できない」に比べて「できるけど疲れるもの」は軽視されやすい。表面上はできるし周りからも上手だねと言われたりするが、自分的には実は苦手なもの。そういうものはエネルギーを食い尽くし、いずれは疲れ果ててしまう。頻繁にマッサージに行ったり週末にリベンジ夜更かしをしたりと自分のメンテナンス時間が多い人は要注意。気付かぬうちに疲れてしまっている可能性がある。
毎日予定が詰まっていて忙しいとき、その予定は誰のためなのかを分析する。誰かのためのミーティングや予定で時間が埋まっているなら、それは忙しいというより心が寂しがっている。起業家など、自分の意思で忙しくている人は忙しいなりにその状況を満喫できている。自分の意思で決めた状況であれば受け入れられる。
毎月の自分のAI予算を決める
2025/03/21
毎月1万円分の本を買うようにしているが、これは「レバレッジ・リーディング」に書かれていたことをそのままやっている。毎月1万円はそれなりの金額で、特に社会人になりたての頃には高額だったけど、それは必ず自分に返ってくるという話だったのでそんなもんかと真似し始めた。色々な経験を積むほど視野は広げられるが個人の活動範囲には限界があり、その意味ではいろんな人がいろんな立場でした体験を読書で取り込めるのは価値が大きい。こんな感じで読書のための予算を取ってるが、今の時代ではAI予算のような考え方良いのかなと思っている。
AIはブームではなく時代の変化で、今後必ず様々なAIツールで仕事が激変する。今も一部の仕事をAIに任せられるようになってきたが、これからの伸び方が遥かに大きいはず。そうなるとAIの流れには上手く乗っていきたい、そして流れに乗るには次々とリリースされるAIツールをちゃんと自分で触ることが大事になってくる。
SNSはアテンション・エコノミーで、とにかく注意を引いたもの勝ちになりつつある。AIというワードを使えばそれなりに注目を集められるのでみな騒ぐ。それに焦らされるのも違うし、完全に無視して何も試さないのもまた違う。自分の解としては「手を動かして学ぶ」ことを重視したい。AIツールは聞いてるだけだと忙しいが自分で試せば大体理解できる。たまに理解できないものもあるが、それは自分の領域とは別ジャンルの課題を解決するものだと整理しておく。
「DIE WITH ZERO」を読んだ
2025/03/18
「DIE WITH ZERO」を読んだ。お金を貯める節約術ではなく、死ぬまでにちゃんと「使い切る」ことに焦点を当てた本。売れすぎて逆に手が伸びなくなっていたが、長時間移動する機会があり空港の本屋で購入。パラパラと機内で楽しく読んだ。
まず根本として死んだらお金はもう使えない。ならば死ぬまでにすべて使い切ることが良い使い方だ、というのが著者のメッセージ。実際死ぬ間際に「もっと働きたかった」と後悔する人はいない。年齢を重ねると身体の健康的にできないことも増えるし、気持ちとしても20代・30代の頃ほど活発に動く気が湧いてこなくなる。お金をひたすら貯めるのではなく適度に使って思い出を作る。思い出は何度思い返しても楽しい。そういう経験のためなら喜んでお金を使うべきだと続く。
お金を使うといっても浪費すれば良いわけではない。必要なのは経験を買うこと。それも「その時々に相応しい経験」を積む。ユースホステルで見知らぬ誰かと一緒に泊まるのは、若い頃であれば良い経験だが、高齢になってからでは中々楽しめない。その時にしかできないことがある。自分にとって必要だと思えば動くべきである。とはいえ、老後にも生活があるのでそれは計画に入れておくべき。著者の見立てでは「毎年の生活費 × 寿命までの残りの年数 × 70%」があれば十分とのこと。これは運用して資産をある程度増やせることが考慮に入れられている。
「疲れたこころの処方箋」を読んだ
2025/03/15
「疲れたこころの処方箋」という本を読んだ。著者は韓国の僧侶の方で、内容はエッセイとフレーズ集が入り混じる構成。人生の辛い場面をどう乗り越えるか、どう心を前向きに保つかなど、答えのないテーマをいろいろな言葉とともに考える一冊。
例えば「成功」の測り方。世の中の名声からではなく夜どれだけぐっすり眠れるかを指標にする。世にいう成功者も何かに焦り、追われている人は多い。何かを達成することではなく、存在そのものに価値を置くと人生を楽しめる。
人を助けるのは素晴らしいことだが、自分に原因がある場合を除いてその人の悩みを自分が全て解決するのは難しい。最初は善意から動いても、完璧な結果を求めすぎると辛くなって両者の関係を悪くしてしまうこともある。
小確幸、あるいはSBCHという言葉があるらしい
2025/03/14
最近読んだ「疲れたこころの処方箋」という本で知ったが、SBCHという言葉があるらしい。これは「small but certain happiness」の略で、「小さくはあるが確固たる幸せ」と意味する。小確幸も同じ意味だがこれは村上春樹が作った略語らしい。大成功を求めるより日常のささやかな幸せを求める動きがある。
幸せとは何か?それは状態。朝に飲む一杯のコーヒーでも、作業として飲むのと香りや味を堪能するのでは意味が違う。同じ事象があったとき、それに苦しみ続ける人とそうでない人がいる。事象や出来事それ自体は苦しみではなく、それと向き合う人の心が苦しみを生む。自分の捉え方ひとつというと言い過ぎかもしれないが、考え方を変えれば多少は痛みもマシになる。
幸せになるには他人との比較をやめること。スキル、給与、趣味、家族などを比べて良いことはひとつもない。比較しないために自分の好きなことを見つける。自分の拠り所がないと他人の物差しを借りて価値を測ることになる。そのフィールドは大勢の人がいるので狭くて動きづらい。自分の大切なものが何か分かればそこに夢中になれるので自然と人と比べる時間が減っていく。