麻雀分析AIが面白い
オンラインで麻雀ができる「じゃんたま」というサービスを遊んでいる。少し前まで将棋に熱中していたが、将棋ではAIが棋譜を解析してくれ、盤面の評価値をグラフにしてくれるというのがあった。自分が有利ならプラス、相手が有利なら評価値はマイナスになる。下手な一手を指すとグラフは急降下する。大きく傾きが変わる箇所に注目し、AIはどこが最善手と思っているかを学ぶと次に活きるという勉強法だ。
こういうAIによる振り返りができないか調べてみたところ、ちょうど今年の頭に「MAKA」というAIがリリースされていた。これは自分の牌譜を読み込ませると分析してくれ、局面を総合してAIならどのアクションを取るかを押してくれるもの。自分の手番で何を切るか、ポンやチーができるときに動くかどうか。自分の判断とAIの最善手が違う場面にポンポンと飛んでいくこともできてUIも素晴らしい。その一局の総合評価もA-やB+のような形で算出され、対局者の総合評価とあわせて自分がどうだったのか振り返れるようになっている。
これがまさに求めていた機能で、気付いてからは毎回AIに分析してもらうことにしている。自分は中級者の下ぐらいのレベルだと思うが、明らかなミスなどもたまにしているのがちゃんとフィードバックされて面白い。麻雀は運の要素も高く下手でも勝ててしまう時がある。その逆の負けが続く場合は気持ちも落ちるが、AIと分析しているとやるべきことは出来ていたな、と区切りをつけることができる。壁打ちして振り返ることで気が楽になる。これは麻雀や将棋だけでなくいろんなところで役立つものだと思う。仕事で失敗したときや家族と喧嘩したときなど、AIが寄り添ってもらえれば楽になれそうだ。
ロールモデル考
大学時代、「社会に出たらロールモデルを見つけよう!」という言葉をよく耳にしていた。今の自分に「この人こそがロールモデルだ」と言える人はいない。でもそれで良い気がしている。
朝井リョウの「スター」という本がる。その中に、かつては「スターといえば?」と聞くと何人かに収束していたが、現代ではみんな異なる人物の名前を挙げるという話がある。確かに昔はキムタクなどのテレビスターがいたが、今誰かと問われると分からない。メディアがテレビからYouTubeに移行したように、視聴者は細分化された自分の好みにあわせて好きなものを観る。チャンネル登録数100人のYouTuberが自分のスターだと言う人もいるかもしれない。一人のスターではなく、各々が自分のスターを持っている。
現代に合っているのは、一人のロールモデルを持つよりも「複数のマイクロロールモデル」を持つことかもしれない。ロールモデルと聞くと重たいが、この人の生活スタイルは良い、この人の話し方は良い、この人のようにWebサービス開発をしたいという気持ちはある。一人に絞るのではなく、分野ごとに自分の目指す像をその人の背中を借りて作れればよい。
マイクロロールモデルは軽いのが良い。例えばSNSではその人の一面しか見れないが、それでも良い。マイクロロールモデルなら一面だけ見えれば良い。その面だけを参考にして模倣すれば良いから。そもそも完全なる憧れというのはなかなか上手くいかない。リアルで会っている先輩や同僚でも、その人のすべてを知ってはいない。仕事は素晴らしいけど家族を大事にしていないかもしれない。その逆で、職場ではあまり目立っていないけど他のシーンではかけがえのない存在かもしれない。
見えている一面からその背後にパーフェクトな像を勝手に補完するのではなく、ただ見えるその一面だけを参考にする。マイクロロールモデルは気軽に増やしていい。この人は話の聞き方が素晴らしいなと思ったら真似する。チャットの文章が爽やかだなと思ったら真似する。試してみて自分に合わなければ真似を辞める。いろいろ試していて自分に合うものがあればそれは続ける。こうしていくと自分の目指したい姿に少しずつ近づいていく。
麻雀再入門
最近は将棋を勉強して本を読んでいたりしたが、運のない実力世界に限界を感じて減速気味。代わりといってはなんだが麻雀にハマっている。麻雀は運の要素もあり、4人でやるのでランダム性も高く中毒性が高い。
大学の時に何もわからず打っていたが、今やってる麻雀はまったく別のゲームだと感じる。自分の手作りだけでなくその場の状況を読み、押し引きをバランスし、不利な状況と分かっていても震えながら攻めることが必要な場面がある。それを教えてくれたのは麻雀プロの実況で、Mリーグとその前進のRTDリーグのプロの解説を見て学んばせてもらった。いまMリーグの盛り上がりがすごいが、麻雀人口もとても拡大しているのではないかと思う。
「じゃんたま」というアプリでオンラインでやっている。じゃんたまは麻雀サービスの中では後発だがその使いやすさで一気にスタンダードになった。他サービスに比べてアバターに課金する要素も大きく、アニメーションなども綺麗で画面の賑やかで楽しくなっている。段位があがるごとに上のレベルの卓に参加できる仕組みだが、今日雀豪という位に上がることができた。その手前でしばらく足踏みしていたが、これも完全に麻雀プロが自分の思考を喋りながら打つYouTubeチャンネルのおかげだ。勝ち負けではなく内容の出来・不出来を反省できるのはとても楽しい。
プロの解説の中で一番面白かったのが、場面によってはもう他者を無視して突き進むということだ。麻雀にはリーチという役があり、アガれる状態にあることを宣言することで手役があがる。自分はリーチされるとどうしても怖くなって及び腰になっていたが、プロは勝負所では一歩も引かず前に出る。その結果負けることもあるが、通算では勝つ確率が高くなる。一番良くないのは振り込みを恐れるあまりずっと守備的に打ち続けてしまうことらしい。そうなると勝負所のバランス感覚がいつまでたっても養われず上達しない。学ぶためにはリスクを取って前に進むことも必要。それを麻雀は教えてくれる。
Webサービスは壊れやすい
作ってリリースするまでは良いが、リリースすると次はそのメンテが始まる。初期の頃にユーザーがついてくれるのは本当にありがたいことだが、要望やフィードバックを受けての改善と新機能開発の2つのレーンを進めることになるので忙しくはなる。初期の頃はスピード重視。要望に応え、不具合をすぐ治し、新しい機能をリリースすることでワクワクしてもらう。サービスを気に入ってくれる人が増えればクチコミが広がる。こうして初期のポジティブなサイクルが周りはじめるが、スピードを重視するあまり品質があまりに下がると大ブレーキがかかってしまう。
同じ作業をしていても、リリース後はリリース前よりかなりスピードが落ちる。これは既存ユーザーへの影響を考える必要があるため。リリース前なら自分たちしか使ってないのでデータをいつでもリセットできるが、既存ユーザーに変更を案内する大変さを考えるとこれまで通りで動くように上手い仕様を考えたくなる。こうして考えられた仕様はすこし変化球となるため開発も時間がかかる。リリース前のテストもより入念に行う必要がある。思わぬ影響でサービスが止まってしまってはいけないからだ。
バグが溢れ始めると負のサイクルが始まる。見通しの悪いコードベースではどこになんの処理があるかわからない。目の前の不具合を治すと別の箇所で3つの不具合が出る。しかしそれには気づけずリリースし、ユーザーからのフィードバックで気づいて慌てて直す。ユーザーからの信頼はすり減る。開発チームは徒労感を覚え、またバグをリリースしてしまうのではないかと自分たちのサービスに自信を失くす。組織の持つ大きな目標になかなか近づけず、ただ毎日タスクに追われる日々となってしまう。
こんな事態を防ぐためにも、リリース前、せめてサービスが本格的に成長する前に安心のガードレールを作っておきたい。ソフトウェア開発におけるガードレールとはテストコードのことで、いろいろな角度や粒度でプロダクトを検証することでバグを未然に防ぐことを目的とする。例えばカレンダーの日付のロジック。「日曜24時」というのは日曜なのか月曜なのか間違えやすい。テストコードを書くことで期待する動作がどういうものか、これはどういう意図で実装しているかを後世に残すことができる。人間がチェックするのと同じようにボタンを順番にクリックし、期待する文字列が画面に表示されているかを確認するテストもある(UIテスト)。これはより実際の環境に近いところで確認できるためユーザーと近い目線でバグを見つけやすい。ただし画面からボタンを探してクリックするような処理は複雑で壊れやすく、原因不明でテストが失敗することもあり管理が難しい。AIが更なる進化を遂げ、「画面の更新ボタンを押すとラベルの色が変わること」などと日本語で書いておけばいい感じにテストしてくれるような未来に期待している。安心してリリースでき、楽しい部分である機能実装に集中できる世界がうれしい。
習慣は場所に紐づく
習慣は場所に紐づく、とは習慣本の名著「複利で伸びる1つの習慣」にある一節。例えば普段寝転んでテレビを観ているソファに座って仕事をするのは難しい。人は場所と習慣を紐づける修正がある。
一時期部屋のレイアウトの都合上仕事部屋のモニターでゲームをしていた。このモニターは仕事中も使う。こうなると仕事中にゲームの電源をつけたくなり、集中が難しくなってしまう。そういった場合の対策も本の中で紹介されている。それは「その行動を面倒くさくする」こと。ゲーム機の場合はコード類を外し、棚の引き出しに入れてしまう。本当にゲームしたければ棚から出せばすぐできるが、仕事中はゲームのことを考えなくてすむ。
家の中だけでなく外にも同じことが言える。例えばパソコンが出来るお気に入りのカフェを持つ。そこは適度に座席間の距離が離れていて、パソコンで長時間作業をしていても店員さんは放っておいてくれる。日常のリズムを崩して仕事に身が入らなくなるとき、そのカフェに行くと良い仕事ができて自然と整うことができる。
最近読書ができておらず、なんとなく気持ちに余裕がない。そんな時は街の本屋さんに行って気になる本を適当に買う。街の本屋さんは大型書店よりも選書が効いていてラインナップに色があるのがよい。今読みたいと思った本は自分の精神状態を反映している。その本を持ってゆっくりお茶を飲みながら本を読む。そうして自分の生活を整えていく。