「運用コスト」の意味合いが変わるかもしれない

2025/07/20

「運用コスト」は動かし続けるために必要な作業やお金のこと。例えばWebサイトであればサーバー代、セキュリティ対応の修正、不具合修正などが挙げられる。安く作れてもその後の運用が大変ならトータルでは損になる。そういう場合は「運用コストが高すぎる」、つまり筋の良くない方法とされる。

Webサービスを作るとき、周辺にいろいろな作業が発生する。サービスの仕様をまとめたドキュメントを書く、新しい機能についてブログで書く、更新情報をメールで送るなど。こういったシステムは自分たちで作ることもできるが、自作のものが増えると管理のコストが高くなりすぎてしまう。例えば何かのセキュリティ問題が発生したとき、10つのシステムすべてでその対応をしているとそれで1日が終わってしまい、本来やりたいはずのWebサービスの改善が進まない。なのでブログは外部のブログサービスに任せるという判断になる。ブログサービスは共通のシステムの上でいろんな会社のブログが運用されているので、セキュリティ対応を一回やればすべてのブログが安全な状態になる。こうして手間を減らすことに私たちはお金を払っている。

さて、最近はAIが活発でどんどん出来ることが増えている。そうなるとシステムを作ったり保守することが簡単になり、自作システムを持つハードルは下がる。上で述べたセキュリティ対応、今までは1日かかってたのが10分でできるようになる。そうなるとまたバランスが変わってくるのではないか。元々自作の良さは柔軟性にあり、既存のブログサービスを使うよりも自社で作ったものの方が連携や使い勝手の面で便利になりやすい。

運用コストが指す意味合いも変わりそうだ。これまではシステムの保守コストを指すことが多かったが、これからはコンテンツの作成コストも測られるようになる。ブログの文章や更新情報メールの下書きはもう十分AIで書ける時代だ。そうなるとAIがコンテンツ作りに参画しやすいような仕組みが「運用コストが低い」と評価されるようになる。人間が書くほうがクオリティが高い状況はしばらくは続くだろう。しかしAIは24時間休まずに働き続けられ、並列で複数の作業も可能。人間が100点の原稿を1本書いてるうちに、AIは80点の原稿を100本作れてしまう。しかもAIはどんどん賢くなる。どちらが優位になるかは想像に難くない。