「AIすごいから人間いらなくなりますよ」と言うのをやめたい
AIの進化は著しい。変化の流れが速すぎてキャッチアップするだけでも一日が終わってしまう。しかもそれを会社に取り込めなければ近い将来競争力を失うとされている。しかしAIばかりやってるわけにはいかず、既存の事業の改善も続けないといけない。こういう隙間を埋めるべく、自分は今AI活用支援のような役割で仕事している。AIの新しい情報をキャッチアップして試し、重要なものに絞ってシェアしたり、チームが使いやすいように整えるお仕事だ。
「AIがすごい」は言っていかないといけない。AIは追いすぎてもしんどいがフル無視してたらどこかで破綻する。本当にすごいものは誰かがしつこく言って、チームが興味を持てるようにする。しかし「AIがすごい」は、少しズレると「もうエンジニア不要ですよ」といった扇状的な議論にすぐ取って変わられる。これは焦りだけを生み、AIをうまく使っていこうというマインドになりづらい悪手だと感じる。
遠い将来を考えたとき、一定の職種がAIに取って代わられるのは間違いない。しかしそれはどれくら先のことか分からないし、今もなお爆発的に成長しているAIの未来予測をしても意味がない。AIを語るときは時系列を揃える必要がある。半年後なのか、1年後なのか、3年後なのか。そこを擦り合わせておかないと「何をやっても結局最後はAIがやってくれる」となって現実の改善が進まない。将来の翻訳技術があれば英語を勉強する意味はないかもしれない。しかしそれが実現するのはいつなのか?見通しなしにAI任せにすると今を犠牲にすることになる。
「もう人間いらないですね」というフレーズ、自分もよく言ってしまう。しかしこれを言って盛り上がった試しがない。主語も見通しもデカすぎる発言には「そうですね」という曖昧な相槌しか返ってこない。それよりはAIによる変化を段階的に、時系列を刻みながら議論する姿勢を保ちたい。そしてAIがどれだけすごくなってもおそらく人間は必要だ。科学技術は人々の望む未来を実現するために磨かれてきた。人とAIの共生はこれまでの時代とはまるで違うかもしれないが、そこに人の存在が不可欠なことは変わらない。