サービスのリリースとはなにか?
コツコツ作っていたWebサービスを公開する。リリースは世の中へのお披露目だ。昔はリリースがゴールのように考えられていた。今はリリースがスタートで、そこから持続してユーザーに価値を感じてもらわないといけない。ところで、リリースの定義とはなんだろうか?
企業が運営しているサービスなら分かりやすい。リリースとは情報解禁日で、そのサービスが利用可能になった日で、広告やXのポストなどあらゆる手段でのユーザー獲得が始まる日のことだ。最初にどれだけユーザーを囲えたかは「初速」と呼ばれ、出だしの好調さはひとつの成功指標になっているように思う(最初だけの場合も多いが)。SNSのような人がたくさんいて始めて意味のあるサービスはこの初速が重要だ。誰の反応もない過疎っているサービスに投稿しようと思う人はいない。一気に集めて人がいる感を演出し、サービスの価値を感じてもらわないといけない。
では個人が作るサービスではどうだろうか?個人開発のサービスでは広告を打つことはほとんどない。Xでポストしたりブログを書いたり、少ないユーザーが友達に紹介してくれたり、そういう小さな広がりでユーザー数が積み重なっていく。この場合リリース時のインパクトというのはほとんどない。
昔はよくiPhoneアプリを作っていたが、これにはリリースポイントが明確にあった。iPhoneアプリを世に公開するにはAppleの審査が必要で、それに通過して始めてリリースできる。つまりリリースとはAppStoreに公開されることだ。しかし最近主戦場としているWebサービスはもっと自由で、いつでも公開できるしいつでもアップデートできる。いま開発中のサービスもすでにインターネットからアクセスできる状態にある。でもこのサービスのことは誰も知らないだろう。
個人開発におけるリリースとは「広報活動を開始していく日」くらいの意味かもしれない。作ったものを広めるのは難しく、個人開発者は開発とマーケティングを50:50でしないといけないという話もある。潤沢な予算はもちろんないので地道に広めていく。ブログを書いたり知人に紹介したり、機能追加のたびに宣伝したり。100%で開発に向き合っていたのが終わり、知ってもらうための努力が始めるタイミング。それが今のところしっくり来る。