最初のアハ体験を設計する
何かしていて「これだ!」と思うタイミングをアハ体験と呼ぶ。勉強していて知識が繋がったと感じる瞬間、アイデア出しをしていて方向性が見えた瞬間。Webサービスを使う際にもこの瞬間があり、自分のサービスではそれがどのタイミングなのか開発者は理解しておかなければいけない。
Notionであれば書き心地の良さに気づいた瞬間かもしれない。Airbnbでは自分が旅行するエリアに素敵な宿がたくさんあると気づいた瞬間だろうか。どのタイミングで気持ちがアガるかはサービスの性質によって違う。それはユーザーが何を求めてそこに来ているかに依存する。
いろんなアプリやWebサービスが溢れる世の中、ユーザーはひとつひとつ吟味している時間はない。「家計簿 シンプル 無料」とかで適当に調べ、それなりに雰囲気が良いものをいくつか試してフィットするものが選ばれる。候補に選ばれたアプリには数分から数十分程度「これを使い続けるかどうか」の試験を受けることになる。そこで良いと思ってもらえれば生き残る。期待ハズレだと判断されればすぐに削除される。
アプリならアプリストア、Webサービスならホームページは自分のサービスの魅力を伝える場だ。頑張って作ったサービスだからできるだけ多くのことを伝えたいし、こんなにすごいんだよとアピールしたいのは人の性。しかし多すぎる文字は読まれず、本当に伝えたいコンセプトに絞って引き算するのが最適化となる。ユーザーは目に留まった2-3文を流し読み、自分の探してるものに合いそうだなと思ったらダウンロードする。作り込んだたくさんの機能は使っていくうちに伝われば良い。人間でも10を知ってるのに1しか喋らず、他人に聞かれたときに初めて奥深い内容を話す人が素敵に見える。自分の知識のすべてを一気に出してしまうと受け手が疲弊する。
サービスの特徴を伝えるとき、少しでも目を留めて欲しくて壮大なキャッチコピーを書いてしまいがちだ。ビジョンを示すためにある程度膨らますのは良いが、やりすぎると逆効果になってしまう。ユーザーは壮大なビジョンを見てワクワクしてサービスを訪れる。期待値が上がりきっているので、大抵の場合はそれを上回れずにガッカリして離脱する。
自分たちのサービスの「アハ」はいつなのか?それを最短でユーザーに感じてもらうにはどうすればよいのか?これを考えるには作っているサービスのコンセプト、ユーザーは何を求めてサービスを試すのかを解像度高く理解してなければならない。これらの理解に努めることはアハ体験の設計以外にも様々なボーナスをもたらす。