「ちょっと踊ったりすぐにかけだす」を読んだ

2025/09/20

ちょっと踊ったりすぐにかけだす」を読んだ。著者はデイリーポータルZでライターをされている方で、子どもたちとの3人暮らしの様子を綴ったウェブ日記を書籍化したもの。最近はエッセイや日記にハマっておりいろいろ読んでいたけどこれは抜群に面白い。読み終わるのがもったいなくて1ページずつ大事に読んでいたがついに読み終わった。

この本で書かれてるのは何か巨大なものを作り上げた経験だったり、人生で一度しかないような珍しい体験ではない。もっと毎日に現れる些細なもの。それを喜んだり悲しんだり慈しんだりしながら書き留める。まさに「日記」という感じで、読んだ後には会ったことのない娘さんや息子さんに親近感を覚えてしまう。

自分も毎日こうして日記を書いているけど、古賀さんの文章は一人称で書かれているのがすごいと思う。例えば自分の文章には「〜と言われている」とか「多くの人が〜している」みたいな俯瞰が入り混ぜになってたりして自分の心情にフォーカスしきれていない。古賀さんは思ったことをそのまま書き、すごいと思ったらすごいと言う。人の生活をのぞき見しているような気持ちになる。日常の些細な心の動いた瞬間を書く。読んでいると自分の毎日にも気づかないだけでこういう瞬間があるなぁと気づけるようになる。

紙面の空いたスペースにメモを書きながら本を読むのが自分のルーティーンになっている。普段はその本のテーマに関する内容を書き込むことが多いが、この本を読んでいるときは全然関係ないいろんな考え事がよく浮かんだ。日常への解像度が引き上げられたためだと思う。当たり前にある日常を再発見するのは難しいけど、この本はその足がかりのひとつになった。