「静かな働き方」を呼んだ
「静かな働き方」を読んだ。舞台はアメリカで、GoogleやKickstarter、ミシュランシェフなどを辞めた人たちにインタビューをしていく構成。学業でもビジネスでもステップアップしていった彼らがやがて燃え尽きていく。そんな実話を紹介しながら仕事主義の危険性を説いていく形式になっている。
仕事が好きなのは素晴らしいが中毒になってはいけない。中毒とは仕事を人生の中心に置き、プロジェクトが成功すると次はさらなる成功を求めること。仕事だけの人生になると仕事のちょっとしたミスを指摘されるだけで大失敗した気分になる。仕事以外の趣味やコミュニティを増やすことは自分を守ることになる。
仕事中毒は個人にとっては害だが、企業については好都合。仕事を愛してもらうほど従業員の定着率や労働時間は長くなる。「やりがいのある職場」では問題が起きても軽視されやすい。給与や待遇が悪くても価値ある仕事だと見なされるから。仕事にみる夢は叶わないことも多い。仕事を自分の自己表現と捉えていると、うまくいかなかった時にバーンアウト(燃え尽き症候群)してしまう。
本書で一番心に残ったのは次のフレーズ。
あなたが価値を置くものと市場が価値を置くものを考慮に入れた、あなただけの「成功」を定義することが重要だ。
他者と比較せず自分が大事だと思うものをやる。これがベースだが、それにより食っていけなければ幸福度は低くなる。なので自分が良いと思い、なおかつ市場からも評価される重なりの部分を見つけること。これは落とし所として腹落ちしやすい。しかし現代社会では市場の価値をかなり重んじてしまっていると思うので、「あなたが価値を置くもの」に思いっきり体重をかけてもバランスが取れるくらいだと思う。まずは自分が何に喜びを感じ、何をしているとき楽しいのか。それを突き詰めるところから始めて、波に乗ってきたらチューニングするくらいで良い。