「ラップスタア」が面白い

2025/10/12

Abemaのオーディション番組「RAPSTAR」が今年も始まっている。応募したラッパーの中から審査員が選考し、各ステージの突破MCを決めていく。最終的に優勝すると300万円がもらえる。最近はアイドルのオーディション番組が人気だが、このラップスタアは少し異質なところがある。

まずHIPHOPは自分の生い立ちを語る。番組内で披露する曲の歌詞はすべてラッパーが考えるが、その歌詞を追うだけでどういう生まれで、何を大事にしている人物なのかが伝わる。例えば少し前までハマっていた「THE LAST PIECE」でも作詞のシーンは何度かあったが、それはひとつの曲をメンバーで分割して、いくつかの小節に自分の夢やなりたい姿を詰め込むものであった。ラップスタアは一人ずつの参加、しかもラップで言葉を詰め込むので情報量が違う。

オーディション中で曲を作るとき、番組が用意したビートを選び、その上に自分のラップを乗せて披露する。合宿では24時間で曲を作ることもあり、それなのにとんでもなく高いクオリティでいつも喰らわせられる。なんでこんなスラスラ曲が作れるか不思議に思っていたが、そのMCの過去作を聴いていると似たような表現が出てくることがある。まだ光の当たってないときから自分と対話して積み重ねたものがこのタイミングで表出しているのかもしれない。ソフトウェア開発でも自分で試した断片的なコードがふとした瞬間役に立つことがあるので、なんとなく重ねて楽しんでいる。

審査員は6人いる。R-指定のような毎回出る人もいれば、その年に初めて入る審査員もいる。HIPHOPに詳しいわけではないので知らないMCが審査員になることもあるが、数回見た時点でもれなく好きになっている。その人のスタンス、シーンへの想いなどに触れるとこれまた喰らう。6人の嗜好はそれぞれ異なり、背景の物語を重視する人、聴き心地を重視する人、言葉選びや押韻を重視する人、ビートへのアプローチを重視する人など見ている観点が微妙に違う。もちろん重なる部分もあると思うがこの観点の違いが番組をさらに面白くしている。さらに審査員もみんな現役なので、早めに落ちてしまった人でも後に一緒に曲をやってフックアップしたりもする。優勝せずとも世の中に見つかることもある。自分のスタイルを貫くラッパーの姿はかっこいい。