「HARD THINGS」を読んだ

2025/05/19

本棚を整理していたときに「HARD THINGS」を見つけたので読んでみた。2015年発刊で長らく積読になっていた一冊。ビジネス書の名著とされている本だけど、改めて読んでみると組織や仕事について考えさせられる部分が多くて面白い。

特に印象に残ったのは、「良い組織と悪い組織の違い」について書かれていたところ。

良い組織では、人々が自分の仕事に集中し、その仕事をやり遂げれば会社にも自分自身にも良いことが起こると確信している。
誰もが朝起きた時、自分のする仕事は効率的で効果的で、組織にも自分にも何か変化をもたらすとわかっている。それが、彼らの仕事への意欲を高め、満足感を与える。
一方で不健全な組織では、みんなが多くの時間を組織の壁や内紛や崩壊したプロセスとの戦いに費やしている。自分の仕事が何なのかさえ明確になっていないので、自分が役割を果たしているかどうか知る由もない。

これは本当にそうだなと思う。自分自身を振り返ってみても、気持ちよく働けていたときは、たいてい自分の仕事と組織の目標がしっかりリンクしていた気がする。「あなたの仕事は何ですか?」と聞かれて、みんなが自分の役割を明確に答えられるチームはやっぱり強い。

報酬の考え方についても面白い。たとえば優秀なメンバーから「他社からこれだけの条件が出ている」と言われると、つい給与やインセンティブを工夫して引き止めたくなる。しかしそれではビジネス貢献以外の行動に報酬を与えてしまうことになる。そうなるとどうなるか?社員は業績貢献よりも経営陣との交渉が給与アップのために有効だと誤って学習してしまう。業界水準を大きく下回っているなど競争力があまりに低い場合は別として、基本的には「ビジネスへの貢献」のみを見極めるのが長期的には有利になる。そしてそれには「その人はどれくらい組織に貢献しているか」を測る必要があり、日々の仕事と組織目標をリンクさせておく重要性の話に舞い戻ってくる。

朝起きて今日の仕事が明確であること。その仕事が何につながっているか理解していること。組織論などというと大層なことに聞こえるが、結局基本はそれだけのことかもしれない。