人が真似したくないことをやる

2025/05/16

良いアイデアは真似される。そんな世で違いになるのは人が「真似したくならない」こと。例えばサービスの品質やお客さんサポートを必要以上に高めまくる。以前読んだ本によると物事を「80点まで上げる」のと「80点から100点に高める」のとで同じだけ労力がかかるらしい。普通に考えると80点まで上げたら一区切りして次の領域にフォーカスを移す。そこで100点目指して作り込む姿勢が違いを生む。

この不合理に思える判断をなぜその人ができるかというと、その人の中では「合理」になっているから。気をてらってその行動をしているわけじゃなく、本人の中には筋がある。例えばWebサービスを開発しているとき、品質を妥協する理由はいくらでもある。早くリリースしたいとか、この機能はあまり使われないから他の部分に時間使った方が良いとか。しかし開発者の基準が高い場合、細部まで作り込まれたサービスが作られる。これは差別化などの他者を意識した判断ではなく、ただ細部までこだわったサービスを使いたい(作りたい)という自分の内面から滲み出たものになっている。

品質だけでなく、次にどういう機能を追加するか、追加しないかも小さな分岐点。良いアイデアのタネは真似されるが小さな判断のすべてを真似することはできない。それは模倣者の中には基準がないから。なのでスタート地点は同じでも、2-3年積み重ねていくと違いが表面化してくる。経営戦略として他社との差別化が必要とはよく言われる。それは確かにそうなのだが、その違いは狙って生み出すというよりは、むしろ自分の内面に深く潜った結果滲み出るものかもしれない。