「きみに冷笑は似合わない。」を読んだ。

2025/10/31

きみに冷笑は似合わない。」を読んだ。副題は「SNSの荒波を乗り越え、AI時代を生きるコツ」となっており、近年のSNSブームやAIによる変化にどう向き合うかが述べられた本。

SNSは「何者かになりたい」人々であふれ、「何者かになれた」と自認する人々が自己主張をし、それに対して羨望や嫉妬の声が上がり、簡単に「何者かになる」ための広告が氾濫している。

1日あたりのSNS平均時間は143分。食事や風呂など生活の基盤となる営みと同じくらい時間をかけている。それで得られるものは何なのか?「自分も何者かにならなくては」という思いを増長してるだけだとしたら、それは時間の使い方を間違えている気がする。

そもそも「何者かになる」というのはSNSで認められ、注目を集めることではない。それは行動し、実績を積み重ねて見出すもので、本来的には自分がその価値をしっていればそれでよい。

世界への貢献やコミュニティへの奉仕の実感が一部の人にしか得られない世の中が、本当に人々を幸福にするのか、私には想像ができない。

こちらはAIの進化で「働かなくてよくなった世界」が良いものかを考えた一節。

仕事は対価を得る手段であり、誰かの役に立つ喜びを得られる場所でもある。AIによる自動化とともにベーシックインカム論なども議論されてるが、それが人々が幸せになる未来と結びついてるかは分からない。

本書によれば幸せは自己完結せず、コミュニティとの関わりのなかで生まれるものだという。お金は便利だが幸福を決める一つの要素に過ぎない。例えば家族の総収入を増やすことを目的にするとうまくいかない。家族の目指すところは幸福の最大化で、お金はその構成要素のひとつに過ぎないから。自分たちにとっての幸せを理解し、それを満たせるように役割分担するのがここでは良い選択肢になる。