読書欲が減衰している
最近本を読めてない。理由を考えてみるとAIの進歩が影響している気がする。AIは自分の趣味嗜好にピンポイントに刺さる情報をまとめて届けてくれる。直近読んだ4冊くらいの本はあまり心に刺さるものがなかった。最近興味のある分野をAIに教えて生成された文章を読む方が確実にヒットは打てる。さらにその内容の理解度を確かめる小テストを作る、Podcastに変換して散歩中に聴くなど応用の幅も広い。情報収集のための読書の価値は相対的に低くなっている。
AI悲観説を唱えたいわけではない。小説やエッセイなどの価値はこれまで以上に上がっていくと思っている。情報の検索や日常的な作業がAIによって効率化されていく。効率化により生まれたスキマ時間で人間がやりたいのが何かというと表現とか、誰かの表現に触れるアートの時間だと思っている。それは絵でも音楽でも文章でもなんでも良いが、人間が生み出したものに意味を感じて楽しむ時間が増える。ただ自分が最近主に読んでいるのはビジネス書や技術書で、これはAIの効率化により減衰していく分野だと思う。技術本の売れ筋は初心者のための入門本だ。そもそもWeb技術はオンライン上で詳細なドキュメントが公開されていることが多いが、初心者のうちからそれを読みとくのは難しく、易しい言葉で噛み砕かれた本を読みながら学習する人が多い。そして情報を変形するのはAIの得意分野。ドキュメントと自分のレベルを与え、自分に最適なステップバイステップのチュートリアルを作れる日は近いと予想できる。
AIにより情報収集が効率的になるのは間違いないが、それでも本というまとまった形で読める体験には価値がある。自分は電子書籍ではなく物理本派で、電車やカフェなどで書き込みながら読むのが好き。本の内容そのものだけでなく、本を読むことで頭が動く時間にお金を出しているような感覚もある。パソコンでインターネットの短い記事を読むのではなく、長い文章を読むからこそ集中力が持続する。
AIを使って本を作ることはできるだろうか?執筆のアシスタントという意味ではなく、いま自分が興味のある関心事がすべてまとまった本。これを1ヵ月に1回くらい発行できたら面白そうだ。そこには自分が興味のある技術の動向、アーティストのニュース、聞き逃したPodcast、気になってる商品のレビューなどがそれなりの文量で並んでいる。「経営」や「投資」などのテーマを立てる必要もない。章ごとにまったくバラバラの内容でよく、強いて言うならテーマは「あなた自身」。それをePub形式や物理本の形で読めたら面白そうである。自分の興味を与えるところが難しいが、気まぐれに試してみたい。