ホームランを狙うと空振りしやすくなる

2025/11/10

常識の1ミリ先を考える」を読んだ。ベストセラーをいくつも手がけた編集者の方の本で、ヒットする企画はどういうものかを15の章に分けて語る。キーワードは「盗んでズラす」。0から生み出すのではなく売れてるものの切り口を変えるのは「コピーキャット」のアイデアの作り方を想起させる。

ヒット作を振り返ってみると、ホームラン狙いのものは失敗しやすいことが分かったという。10万部を狙うぞ、と意気込んだ企画は失敗しやすい。これはホームラインを打つことに意識が行き過ぎて目の前のボール(読者)から目を離してしまうことが原因。著者は読者をひとつ広げてクラスタと呼ぶが、この対象となるクラスタを理解し、その人たちの世界観を分かった上でスイングすると打率があがりやすい。

Webサービスでも同じで、世の中を変えるサービスを作る!と始めてしまうと行き詰まりやすい。規模が大き過ぎてイメージしづらいし、自分の考えたアイデアが世界的に流行るかどうかは企画段階ではわからない。InstagramやAirbnbなどの世界的ヒットサービスも最初は小さく始まっている。その界隈の人に火がつき、少しずつ形を変えながら世界に広がっていった。世界を変えるのは結果であって目的ではない。

N1マーケティングでおなじみの西口さんも著書「ブランディングの誤解」の中でマスとニッチの違いについて、課題を解決する商品を作り、その対象者が多ければマスに、少なければニッチになるだけだと書いている。ある村の人だけが使うニッチなアプリを作ったとして、それを周りの市区町村が真似して広がれば徐々にマスに近づく。ある程度市場を見る目は必要として、ニッチになるかマスになるかは結果に委ねられる部分がある。まずは身近な1人、身近なクラスタが欲しがるものを作るところから始めたい。