「LIFE SHIFT」を読んだ
寿命が伸びて100年生きる時代にこれまでの常識はどう変わるか?「LIFE SHIFT」は長い人生の受け止め方が書かれたベストセラー本。面白かったところを簡単にまとめる。
人生が長い時代ではお金とは違う「無形資産」が重要になってくる。無形資産には「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つがある。生産性資産は仕事を効率的に行えるスキル、活力資産は肉体的・精神的な健康。友人や家族との良好な関係性もここに含まれる。変身資産はちょっと面白くて、自分について知っていること、多様な知り合いがいること、新しい経験にオープンなことなどが挙げられる。確かにこれらの要素がある人はどんな状況変化にも適応できる。ひとつの専門性に固執するのではなく、変わりゆくトレンドに身軽に乗れる人が活躍する時代になる。
コミュニティに関する考察も面白い。
自分と同様のスキルと知識を持つ人たちとの関係を深めるために多くの時間を費やし、その人たちと直接対面して会話する時間も割かなくてはならない。高度な専門知識が育まれ、共有されるためには、そのような時間が必要なのだ。
インターネットで調べものは完結し、誰にも会わずに家でひとりで仕事ができる時代。しかし言語化されにくい世の中の流れ、暗黙知はコミュニティの中でしか熟成されない。会社でチームとして働いたり、同じ志を持つ人たちとコミュニティを築いたりするのはこの点で意義がある。例えば今どきの海外カンファレンスはすべてのセッションが後にアーカイブが公開され、わざわざ行かずとも情報のキャッチアップは簡単にできる。高い飛行機代やホテル代を出してまで現地参加する意義はないように思えるが、その場の高揚感は実際に参加してみないと体感できない。この機能が発表されたときに会場が沸いたとか、世間ではニッチとされていてもその会場の全員が信じていたとか、そういう空気感が自分の知覚に影響を与える。論理的な説明は難しいがこれは確かにある感覚だと思う。
理想的なキャリアの進み方について、本書では「はしゃいで跳ね回る」と表現されている。歩くのではなくスキップで、最短距離ではなく景色の良い行路を選ぶ。遊び心を発揮できているときは理由などどうでもよくなる。その行動でどういう効果があるのか、どんな恩恵があるのかは関係ない。自分のしたことをお金に換算しようとした瞬間に遊びは色を失う。重要なのは楽しみながら実践して学ぶこと。実践の途中で学んだスキルや知識は地に足がついていて実用性が高い。いまの環境だけでなく、未来の仕事にも役立つようになる。