「勝負眼」を読んだ

2025/12/11

勝負眼」を読んだ。サイバーエージェント藤田さんの新作で、週刊文春の人気連載をまとめた形。藤田さんといえば最近社長を交代することを発表して話題となったが、そういう会社の成熟、移り変わりみたいな話題が多い(あと麻雀の話が多い)。

自分が就活の頃、サイバーエージェントはメガベンチャーの代表とされており、説明会や選考にも参加した。他の会社が貸し会議室で説明会を開催するのに対し、サイバーエージェントは大きなホールを貸し切って開催し、最初に藤田さんからのメッセージが巨大モニターに流れる演出をしていた。その当時から藤田さんの見せ方へのこだわりはすごいと思っていたが、本書でもそのあたりは何編か書かれている。

本書で一番印象に残ったのは以下の文節。

クールジャパンは日本の文化の良いところを世界に広めようとしているに過ぎない。一方で、クールコリアは自国の文化を世界水準に高めることを目指している。

クールジャパンは何か違うなと思っていたが、その理由をズバリ指摘している。今の時代良いものはグローバルで課金される。なのでサービスやプロダクトは世界基準を目指すべきだ。

アメーバブログが苦戦していた頃、藤田さんが当時のサービス責任者を外して自分がオーナーとなって動いた話がある。当時の担当者はアメブロではないブログサービスを使っていた。「一番のユーザーである自分が誇れるサービスにする」を基準にしてサービスのクオリティを底上げた。

Abemaでも同じことが言える。以前聞いた話ではアプリの体験やデザインについて、藤田さん自身が膝を突き合わせて会話しているという。自分の中に基準があり、そこに向けて改善を続けられるチームは強い(社長自身がこのスタンスを保てているのがすごい)。

社長の交代劇に直接触れている回は思ったより少なく、藤田さんの考えや行動を振り返って書いているものが多い。文春での連載というのもあってか麻雀の例えが多く、それも麻雀好きの自分にはたまらない。

思考を整理し言語化する時、そのプロセスを通じて自分自身が大きく成長するということだ。
一方、言語化する機会をもたず、感覚で仕事をしているような時期は、いたずらに時が流れ、停滞しているように感じられる。

感覚で乗り切ってると積み重ねがない。やるときは勢いで進めてもいいが、後で振り返り言語化することで血肉になる感覚は自分にもある。手を動かしては振り返り、少しずつ上達していくプロセスはそのものが面白い。