バケツの穴を塞いでから水を入れる
最近は家事をしながらM-1のネタ動画を見返しているが、それにはTELASAというアプリを使わなければならない。数年前までは普通にYouTubeにアップロードされてたのが最近はこういうキー局のアプリで配信される。去年はドコモ系列のLemino、今年はテレビ朝日とKDDIが運営するTELASA。ビッグコンテンツなので仕方がないとは思うが、よくわからないアプリを入れるのは煩わしい(ちなみに1ヵ月くらいするとYouTubeにもアップされる)。
M-1関連のコンテンツを見るにはTELASAの見放題プランに入る必要があるとのことで加入した。よく使っているが、正直使い勝手はイマイチだ。例えばYouTubeでは画面の右のあたりをダブルタップすると10秒進めることができるが、TELASAでは右下の小さなボタンをタップしなくてはならない。ネタ前の煽り部分は何度も見る必要がないので飛ばしたい。でもそのために小さなボタンを集中して押すのは家事中には難しい。
M-1コラボのマーケティングにより大量のユーザーを獲得できたと思うが、アプリ自体の使い勝手が低ければ定着しない。改めてプロダクトとマーケの両輪が重要だと思う。例えばAbemaは「亀田興毅に勝ったら1000万円」のような目玉企画をやりつつ、見逃し配信やアーカイブの検索など細かい機能も磨き込まれている。サッカーのカタールW杯配信ではマルチアングル機能を提供しており、ユーザーは好きなカメラで映像をみることができた(甲子園のネット中継などでも似たようなことはできるが、UIに美しく組み込まれているという点で違いがある)。
サービス作りでよく言われるのが「水を入れる前にバケツの穴を塞ぐ」。穴だらけのサービスにマーケで無理やり人を入れても底からどんどん抜けていく。まずは良いサービス、継続してもらえるものを作り、それから人を流すのが基本戦略となる。よく言われるけどちゃんと実行するのは難しい。自分のアプリでも改めて意識したいところである。
ところで、サービスの使い勝手がどれくらい重視されるかはそのサービスのジャンルにも寄る。例えばTodoアプリやアルバムアプリなど日常使いし、機能の使いやすさが優位性につながるものでは重視されやすい。一方で転職サービスは「そこにたくさんの人がいるか」が重要だし、映像系では「良いコンテンツを取り揃えられているか」が重要で、アプリの使い勝手は二番目以降の優先度になる。でも最近は後者でもデザインにこだわるところが増え、徐々にクオリティが上がっていってる気もしている。一人のユーザーとしてはすべてのアプリがストレスなく使える良いものになることを願っております。