「生成AI時代の価値のつくりかた」を読んだ

2025/11/18

生成AI時代の価値のつくりかた」を読んだ。久しぶりのオライリー本。この本にはプログラムのコードは出てこない。その代わりどんどん賢くなる生成AIとどう付き合っていくか、どういう点を意識して仕事をすれば良いのかが書かれている。

本書で一番インパクトを受けたのが「+AIからAI+へ」というスローガンだ。「AIがすごいので活用しましょう」と始めるプロジェクトは大体失敗する。それは既存の機能にプラスアルファでAIを付加しようとするから。AIはもっと破壊的で、仕事そのものを変えるポテンシャルがある。AIが組み込まれた体験を軸に考えるようにマインドを切り替えることが出発点になる。

では具体的に何から始めれば良いか?それは「仕事の構造を書き出すこと」。自社のビジネスの流れを細かく分解して並べる。そしてAIが得意な部分をそこから見極める。仕事の目的は大きく分ければ「コスト削減」か「利益創出」の2パターンしかない。コスト削減の方が自社だけで完結できるので難易度が易しい。著者はリスクの低い社内業務の自動化から始めることを推奨している。

OpenAIやAnthropicのモデルは素晴らしいが、それは誰でもアクセスできることを忘れてはいけない。モデルは誰でも使える。プロンプトも多少の工夫はできるが大差はつかない。では他者と差別化する要因はどこにあるか?それは「自社固有のデータ」にある。

自社のエッセンシャルなデータは学習に使われないよう気をつけること。良いデータセットがあればモデルをチューニングしてユニークな体験を生み出すことができる。

個人的な予想としては生成AIを使えば仕事が10倍の量できると思っている。しかしそれは他社も同じ。一時的に差がつくこともあるかもしれないが、最終的には「AI活用度」は事業価値とは直結しないだろう。最近の技術コミュニティではAI活用法がよく議論されてる気がするが、いまフォーカスして掘り下げるべきはそこではないのかもしれない。