下北沢

2025/07/11

下北沢は東京の最後に住んでいた場所。住む前のイメージは若者の多いガヤガヤした場所かと思っていたが、駅から少し離れると静かな住宅地が奥に広がっている。大きな庭を持つ家も多くて夜はかなり静か。家に向かう途中に小さな公園があり、そこでたまに演劇の練習をする若者2人を見かけた。下北は劇場の街でもあり、これはイメージ通りだった部分。

小田急の駅は住み始める前に大工事が終わったところで、地上にあった路線が地下に埋められたらしい。そして地上にできたスペースは再開発されて新しい建物がどんどん建つ。カフェや本屋、イベントスペースにホテルなど便利になっていったが、個人的には昔からある商店街の雰囲気の方が好きだった。ベーグル屋やラーメンもよく利用したが、一番訪れたのはスパイスカレーのお店。下北はカレーの聖地でもある。

住んでいた家は駅から少し離れ、ちょっと歩いて右に曲がったところにあるのだが最後の一本道がとても細い。当時は飲み会の帰りにタクシーで帰ることもあったが、大体タクシーの運転手さんがUターンできずに右往左往することになる。引っ越してきたときは左右の家から飛び出してる樹にトラックの荷台がひっかかり枝葉を傷つけてしまったこともあった。そのおかげで日中でも静かな場所だったが、夜は歩いて帰るのが少し怖かった。

一番よく行ったのは駅前のスタバで、家で集中できないときはよくお世話になった。帰り道にこれまた駅前の本屋に立ち寄る。当時ハマっていたのが英語の勉強で、この本屋でTOEICの本や単語暗記カードなどをよく買っていた。英語が喋れるようになりたいというよりは、コロナで人との交流が減って何か打ち込むものが欲しかった。それでもひと夏勉強を続けた成果は出て、TOEICの点数は以前の1.5倍くらいになった。

下北は東京最後に住んだ街で思い出は酸いも甘いもある。便利な場所だったけどもう行くことはないかもしれない。住宅街には自然が多く、朝は鳥のさえずりが聞こえて心地よかったが、どうしても眠れない夜があってその時は鳥の声を煩わしく思ったりもした。一度くらい演劇を見に行きたかったけど、たぶんもう一度住んでも行かないまま終わると思う。いまはさらに再開発が進んで新しいお店が立ちまくってるらしい。東京はこんなふうに少し時間を空けるとすぐに変容していく。