「無料」に縛られすぎずにWebサービスを作る
個人開発は趣味の領域。できるだけお金がかからないように作り、それでお小遣いを稼げればラッキーくらいの気持ちで今までやってきた。速度や手間は少し妥協することになるが、無料プランを組み合わせて作ることもできる。社会人数年目まではそのスタイルにこだわっていたが、最近は少し心境が変わってきた。
無料で作り切ることもできるが、それは2番手3番手の選択肢を取り続けることになる。なぜ豊富な無料枠があるかというとサービスを知ってもらうためで、後発のサービスがNo.1との価格の差別化として提供していたりもする。これらは無料は代わりに機能が少なかったり管理画面が使いづらかったりする。確かにランニングコストはかからないが少しずつ面倒が積み重なる。表示速度などに影響する場合もあり、ユーザー体験が悪くなる部分もある。趣味で作っているのでそれでも妥協できていたが、今はお金が多少かかっても納得できるものをリリースしたい気持ちが高まっている。
これは本当に長続きするものを作りたいという気持ちからかもしれない。基本的に一度決めた技術スタックは後で変えるのが難しく、微妙な技術選定をしてしまうとサービスが流行った後にそこがネックになってしまう。王道のベストプラクティスがあればそれに従いたく、そうするには多少の支払いは必要になる。お金を払うことでネガティブなのはそのサービスが流行るまで待つ体力が必要になるということ。鳴かず飛ばずのサービスの運営に毎月5万円かかっているのは辛い。どこかのタイミングで進退を判断しないといけなくなる。これが月500円ならもっと長い間粘れる。Airbnbは最初の2年間まったくユーザーに見向きもされず、それでもサービス改善を続けてやがてヒットした。マーケティングにかける予算がない個人開発は基本的に長い期間寝かせる必要があり、そのためには毎月の支払いが小さい方が効率は良い。
このあたりのバランスは難しいが、今のところは「売上ゼロでも2年くらい支払い続ける金額に抑える」というラインを意識している。月5万円なら2年で120万。それを払うだけの価値が今作ってるものにあるかどうか。2年改善を続ければ可能性があるかの兆候は見える。無理に無料で運用するよりも、思いっきり2年走り抜けた方が当たる可能性も高い気がしている。