読み手にやさしい文章をつくる

2025/02/09

文章にもタイプがあり、このブログに書いてるようなものは自分の頭の中を書き起して整理することが目的で、書くことそれ自体に重心がある。一方仕事やコミュニケーションで書くテキストは相手に伝わることが目的となる。太字や箇条書きでの装飾、画像や動画の添付など使えるものは何でも使ってよく、相手に伝えられれば勝ち。そこで求められるのは文章としての美しさとはまた異なる。

伝わりやすい文章は構造化されている。最初に主題があり、それを分解した各章があり、各章の中身として文がある。例えば何か質問をするとき、最初に質問の内容を短文で書き、続いて詳細な内容、そして自分で試した・考えた内容を添える。伝えるための文章では主語は相手で、相手が理解できなければ意味がない。自分と相手の理解の仕方は違うので、自分の脳内をつらつら書いても相手にとっては読みづらい。自分の知識を一度手放し、相手を憑依させて書いた文章を読んでみる。一読して理解できるなら良い文章といえる。

文章の上手い人は情報の構造化がうまい。どの要素がどの概念にぶら下がっているか。どの要素が重要で、どの要素は削ぎ落としても伝わるのか。これが上手い人はどういう人かを以前友人と話したことがあるが、その時に「論文を書いた経験があるかどうか」ではないかという話になった。大学で論文を書くときは長い文章を章立てしたり、図やグラフを使って分かりやすく仕上げる必要がある。さらに全体の要約を冒頭で紹介するのでキーポイントを押さえる練習にもなる。そして経験豊富な教授がそれについて厳しくフィードバックしてくれる。確かに論文に近い経験は他にないかもしれない。今も文章を書いてるとき教授から指摘された内容がチラついたりする。思わぬ形で過去の経験が活きていて面白い。